新たな価値創造、さぁ、その先へ

Project01

三井物産様 「大規模基幹システム構築」

三井物産様(以下、敬称略)の「基幹システム(業務やサービスの中核を担う重要なシステム)」を刷新するという、大規模プロジェクト。
三井情報(以下、MKI)は、三井物産の「コア・パートナー」としてプロジェクトを推進し、大規模な仮想化対応を視野に入れた最先端基幹システムを構築する。

世界的に多様なビジネスを展開する 三井物産「基幹システム」のリプレース。未経験の大規模プロジェクトに全社を挙げて取り組む。

世界を舞台に「挑戦と創造」を続けてきたMKIの親会社である総合商社の三井物産。1990年代にシステムのオープン化が進んできたことを受け、三井物産は、複数の企業からICT関連サービスを受けてきた。その中でMKIは、今現在三井物産のメインベンダーとしての役割を担っている。資本関係はあるが、MKIの努力に対する信頼感の表れだ。そうしたなか、三井物産が2009年に掲げた経営戦略を表裏一体で支える「基幹システム」をリプレースすることとなり、三井物産と同じ目線で情報戦略を実現していく、「コア・パートナー」として選ばれるようになっていった。

「コア・パートナー」に求められるものは何か。神戸は「お客様の業務とシステムの現状をよく理解していること、今使える最新の技術をいつもアンテナを拡げて追いかけていることの2点です」という。業務を知っているという点ではコンサルティング会社がある。技術に特化しているという点だけを見ればICTベンダー会社がある。しかし、その両方を熟知しているのはMKIであった。
「ある側面だけを見ればMKIより優れた企業があるかもしれません。しかし、未来のあるべき姿を一緒に考えていくことができる、それがMKIの大きな強みであり、他社に絶対に負けないという自負があります」と神戸は語る。山井も「お客様の経営戦略や業務課題をシステムで解決していくことが我々の使命ですから」と続ける。MKIは、三井物産に唯一の「コア・パートナー」として認定され、基幹システム構築プロジェクトがスタートした。

過去に取り組んだ大プロジェクトの約20倍の規模、「基幹システム」を一から作り変えるという巨大なプロジェクトへの取り組みに、「正直怖さもありました。しかし、この仕事を受けることは、今後のMKIにとって絶対にプラスになると考え、やるしかないという思いでした」と神戸。まずは、三井物産と同じ目線で仕事を進めていく社員15名が三井物産に出向し、それと同時に開発業務を行う体制づくりも進めていった。「巨大プロジェクトには、いろいろな能力が必要です。社内で適した人材を探し回り、協力関係にあるパートナー会社からも要員を確保しました。適材適所を考えたチーム編成をしていく過程で、MKIはこの仕事をやりたいという人の意見は、積極的に取り入れる会社だと再認識しました。自分の意見をしっかりと持ち、チャレンジしたいという意欲を持った人を歓迎します」神戸と山井は熱く語る。

それぞれが担当した業務を確実に行うだけでなく、方向性がバラバラにならないように意識共有することが重要。

「出向メンバーの一人としてアプリケーションの設計開発、また基幹システム周辺の基盤も担当しました。出向ですので三井物産の立場でベンダーに業務依頼をします。当然、MKIのメンバーにも三井物産の立場として指示を出しますので、最初はとてもやりにくかったですね。間に入って調整することの難しさを実感しました」と長は当時を振り返る。長からの業務依頼をMKI側で受けた早川は「新しいシステムに合ったシステム基盤を開発していくチームリーダーを務めました。印象に残っているのは、基盤一つとってみても、インフラ担当とアプリケーション担当が感じている問題点は違うということです。それぞれの立場に立った課題共有が大切だと感じました」という。

大坪も別の場面で立場の違いという点の難しさを感じた一人だ。「私はシステムの導入ユーザーサポートを担当しました。三井物産本社だけでもさまざまな部署があり、いろいろな人がいます。新しいシステムを利用してもらうため、説明会を開き、直接ユーザーサポートを行いました。しかし、システムを構築した側で作成された資料は、ユーザー目線になっていないことが多いので、ユーザー側の視点に立ってマニュアルを作成し直したりしました」と語る。

各国の言語や商習慣などの違いはあるが、商社業務の基本は変わらない。それに合わせて、世界中で販売されているSAP社のパッケージをベースにした統一的な型を組み、そこに固有の業務ニーズやフローを付加して提供していくのがプロジェクトの実際の業務である。システムが大きくなれば、不具合が出る可能性も増える。Web上で販売管理や在庫管理などの物流関連情報をまとめるシステム構築を担当した松元は、「システムが大きいので、単体テストでOKだったものが結合テストで不具合が見つかることもありました。さまざまな観点から見直して、システム改善を推進していきました」という。

こうした巨大システムを開発するプロジェクトは、当然関わる人の数も増える。関わる人が増えると、それぞれが担当業務だけに意識が集中し、全体像を見失うことがある。その結果、方向性がバラバラになってしまいプロジェクトがまとまらなくなってしまう。

「今回は自分たちも経験したことのない規模のプロジェクトでしたので、通常なら一つのプロジェクトチームとプロジェクトマネージャに任せるところを、大きな役割毎に5~6つのチームを決めてプロジェクトマネージャも6名ほど配置しました。我々幹部は、そのマネージャとのコミュニケーションを常に心がけ、全体状況を共有していくようにしました。何でも話し合える環境作りを行い、問題が起こればすぐに対処するようにしたことが、メンバー同士だけでなくお客様も含めた信頼感に結びついたと思います。それが成功の最大の要因かもしれません」と神戸は語る。

仮想基盤も同時に構築し、「基幹システム」は次のステップへ。

「基幹システム」刷新と同時にインフラの仮想基盤構築が進んでいた。三井物産への出向メンバーの一人でインフラ構築全般を担当した白井は「マイクロソフトの新しいバージョンのインフラ基盤である「Hyper-V」を使っての仮想基盤構築を担当しました。サーバとストレージは同じメーカーのものを使うのが一般的ですが、サーバとストレージそれぞれで、強みのあるメーカーを採用するという三井物産の強い方針があり難しい部分もあった」と語る。

当時、仮想基盤対応を視野に入れた最先端システムとして導入事例がなく、国内初の試みということで雑誌の取材もくるほどの画期的な仮想基盤構築であった。「当時はトライ&エラーを繰り返しながら問題点を一つずつなくしていきました。最先端の技術のなかで、構築や開発に携われたのは光栄ですし、自信もつきました。今後は三井物産へ導入したシステムを横展開していきたいですね」と白井の目は未来に向けられている。未来を見据えているのは白井だけはない。

「導入した現状のシステムを最適化すると同時に、三井物産のビジネスに貢献するシステムを、より進化させていきたいですね。そのために常にアンテナを拡げて新しい情報をキャッチしていきます」と長が続く。「今は、構築した基幹システムを三井物産の関連会社に導入しています。先日、横展開として13社目の導入が完了しました。今後は、三井物産以外の商社・卸売業・メーカー販社向けのERPテンプレートの開発メンバーとして加わるため、現在担当している導入業務を若手メンバーに引き継ぎしているところです。このテンプレートは、まさにMKIが経験してきた三井物産のプロジェクトのノウハウが基になっています」と松元。

「私も三井物産の関連会社へ足を運んでいます。三井物産本社への導入サポートが終わり、現在は、関連会社へのサポートを進めているところです。関連会社は本社以上に業種がさまざまですので、実際に使ってみて初めてわかることも多いのです。ユーザーの声を集め、より使い勝手のいいシステムへの改善に結びつけたいと思っています」と大坪がいう。

「私は、現在自分たちで構築、導入した基盤の運用・保守のリーダーを担当し、作った基盤を安定稼働させるために、さまざまな工夫や改善を進めています」と早川。メンバー全員が巨大プロジェクトを無事に完了させた自信とともに、次のステップをしっかりと見据えているのである。

出向からITマネジメントサービスへ。「コア・パートナー」としての信頼を深める。

基幹システムは計画通りの2010年に本番稼働し、その後関連会社への導入が順調に進んでいる。このプロジェクトが終了した時点で、神戸は三井物産に「出向メンバーを引き揚げましょうか」と打診した。しかし、三井物産と同じ目線で仕事を進め、ベンダーの取りまとめ役を務めたメンバーに対する三井物産の評価は想像以上に高かった。「今後も我々の側に立って、IT企画・構築の支援業務を進めて欲しい」との要望が返ってきたのである。現在、ITマネジメントサービスというサービス名で、引き続き三井物産のビジネス課題をシステムで解決していくチームとして、メンバーが活躍している。
今回の「基幹システム」プロジェクトで、「コア・パートナー」としてのポジションを確かなものにしたMKIは、さらなる信頼関係を深めるために、新たな挑戦を続けていく。

Profile of the project members

※内容は、取材当時のものです。