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Project02

クラウド型ワンストップサービス 「コールセンターソリューション」

「コールセンターシステム」の構築・運営サービスで20年以上の実績を持つMKIが、テレマティクスサービス(移動体通信システムを利用してサービスを提供すること)の進化・拡大に、柔軟に対応する次世代型サービスを実現した。

「コールセンターサービス」のさらなる拡充を目指すなかで、  現状システムを進化させる課題を提示される。。

MKIは、これまでも数多くの「コールセンター」構築・運営サービスを提供し、高い評価を得てきた。重村は、より高度なサービスに展開させるための事業開発を積極的に行うなかで、トヨタ自動車様(以下、敬称略)のLEXUSオーナー向け情報提供サービス「LEXUSオーナーズデスク」を展開するトヨタメディアサービス様(以下、敬称略)から現状システムに対する課題をキャッチする。従来の「コールセンター」は、電話回線などを含め、システム全体を自社内に設置して運用を行うオンプレミス型(導入設置型)であった。

「テレマティクスサービスの進化スピードは、毎年加速しています。新型車や新しいサービスの追加に合わせて、その度に自社システムを改修する必要があり、運用面、コスト面でも課題になっていると、トヨタ自動車およびトヨタメディアサービスのご担当から課題を提示いただきました」と重村は振り返る。また、新しいサービスの立ち上げが必要になっても、システムの制限上、急に拡張するのは難しく、柔軟な対応ができないという不満、課題も抱えていたという。「一言でいえば、トヨタメディアサービスが求めていたのは、導入・運用コストを大幅に削減しながら、機能性、信頼性、拡張性を進化させ続けることができる『サービス提供型のコールセンターソリューション』でした」と重村は続けた。

その要望に応えるためにMKIが提案したのが、クラウド型コールセンターソリューションだ。回線、インフラ、コールセンター機能をオールインワンで提供するクラウド化は業界初の試みであった。数多くの「コールセンター」構築・運営サービスを提供してきた実績と、クラウドサービス技術を兼ね備えるMKIにしかできない提案であり、トヨタメディアサービスからも「次世代コールセンターのあり方を考えているなかで、これならいけるという感触だった」と高い評価を得ることができた。

こうして、2011年春にクラウド型コールセンターソリューションの構築プロジェクトがスタートし、重村をはじめとするプロジェクトメンバーが、要件定義の定例打ち合わせのため、週1回名古屋へ赴くこととなった。業界初の試みに対する期待が高まる一方で、打ち合わせを重ねていくうちに、MKIが想定していたシステム要件と、トヨタメディアサービスの要望との違いが、徐々に明らかになっていったのである。

コスト削減と機能性・拡張性を確保するというテーマ。その両面を満たすソリューションを模索する。

「コールセンターのクラウド化、コスト削減、システム更改時の利便性というテーマを考え、当初私たちは顧客に合わせたカスタマイズ(改修)を極力抑えたシステムの標準化が必要と考えていました。しかし、トヨタメディアサービスからのご要望は現状の運用(機能)を網羅し、かつ多様な付加機能でした」と重村はいう。「ご要望のなかには、新たにシステム開発が必要となるものもありましたので、コスト的にどこまで対応可能かをメンバーと相談し、ベースとなるシステムの標準機能で対応できること、カスタマイズを必要とすることを整理していきました」とプロジェクトマネージャの宮崎が続ける。

プロジェクトメンバー全員が知恵を出し合って、システム要件を満たすための解決策を検討する日々が続いた。解決には思っていた以上の時間を要し「日を重ねるごとに、少しずつですがスケジュールが厳しくなっていくなと危機感を感じましたね」と重村が当時を振り返る。
しかし、このシステムが導入されれば、お客様は「コールセンター」を非資産化することが可能になる。オンプレミス型は、導入時のイニシャルコストに加えて資産管理、保守運用費用がかかるが、クラウド型コールセンターソリューションの場合は、サービスの月額使用料となり、これらが軽減される。また、クラウド型であるため、新しい拠点にネットワークさえ敷設すれば、容易にさらなる拠点の追加・拡張ができるのである。そうした導入後のプラスイメージをメンバー全員が思い描きながら、それぞれの業務課題をクリアしていった。

「ネットワークの基盤構築を行いましたが、全てを新しく構築するのではなく、トヨタメディアサービスの既存基盤も使用するので、接続作業には苦労しました。また、本体であるトヨタ自動車のシステムと接続する必要もあります。基盤システム側に合わせながら、不具合が出ないようにしなければなりませんので、とても緊張感がありました」とネットワーク担当の川上は語る。
そうした一つひとつの課題を克服しながら、プロジェクトが着実に完成に向かっていることで、メンバー一人ひとりの気持ちも高まっていった。

新コールセンターシステムの本稼働。そして導入後のシステム進化は続く。

試行錯誤を重ねたシステムだが、いよいよ本番稼働を迎えた。コールセンターは夜間の利用が少なくなるので、一般的には夜中に導入作業を行うことが多い。今回の導入も夜間に行われたが、一つ違う点は、トヨタメディアサービスのコールセンターが24時間稼働ということだ。

「トヨタメディアサービスの場合、ナビの目的地検索や設定などを行うコンシェルジュサービスはもちろんのこと、夜間に多くなる盗難や事故対応など、あらゆる問い合わせに24時間365日対応しています。導入にあたって、正確さは当然ですが、時間との戦いという局面もありました」と重村。「このシステムでは、パソコン内のSoftphoneというソフトウェアが電話として機能しますので、システムが切り替わらないことには電話も使えない状態になります。迅速かつ確実にという気持ちで切替作業を行いました」と宮崎が続ける。
「ネットワークの切り替えを始めると、電話回線を受けるゲートウェイの着信設定と転送設定が違っていることが判明したのです。その設定を修正しながらの切り替え作業となり、非常に緊張しました」と笑顔で語る川上。メンバーの細心の注意を払った導入作業によって、2012年4月に本稼働がスタートした。しかし、導入すればすべて終了ということではなく、導入後のさまざまな課題に対応していかなければならない。

「着信した電話が違うグループにつながってしまうという、接続基盤の問題などもありましたが、何よりも苦労したのは音声品質です。通常はコールセンターにかかる電話は自宅からがほとんどですが、トヨタメディアサービスの場合、サービスの特性上、ユーザーは車からかけてくることが大半です。車の位置や車内環境によっては、音声が聞き取りにくい場合も少なくありません」と重村が課題を語る。「ネットワーク基盤の問題なのか、電話をかけているエリアの問題なのかを精査しました。基盤ではなく回線の問題の場合は、通信キャリアであるKDDIと連携をとりました」と川上。「今回、KDDIと緊密なパートナーシップを組んだことも成功の要因の一つです」と重村が続く。
「私は導入後に業務を引き継いだのですが、インフラ、技術とも問題があると思われる箇所の見直しからスタートしました」と吉村がいう。そうした見直し作業が終了し、現在、クラウド型ワンストップサービスの「コールセンター」は順調に機能している。「『コールセンター』はお客様の声の窓口であり、その声は貴重なデータです。トヨタグループのビッグデータの一翼を担っている自負は持っています。今後はビッグデータ活用の新たな仕組みを提案できればと思っています」と、吉村は将来の抱負を力強く語った。

クラウド型への切り替えが今後のコールセンターのあり方を変える。

現在、コールセンターシステムの主流は、中・大規模なセンターを有する企業のほとんどはオンプレミス型(導入設置型)だ。その多くの企業が運用コストや資産管理業務の負担を考え、非資産化への移行を志向していると考えられる。だが、これまでは成功事例が少なく、リスクとコストの両面から導入に慎重な企業は多い。そうした状況において、今回のMKIコールセンターソリューションの成功は大きな意味を持つ。重村と吉村は、「今回の経験と実績をベースに、多くの企業にクラウド型コールセンターを提案していこうと考えています。今現在、お客様から問い合わせをいただく件数も増えています」と口を揃える。今後、MKIが「コールセンター」のあり方を変えていくといっても過言ではない。また、「コールセンター」に限らず、さまざまな分野で業界初の試みを提案・実現できる点が、MKIの大きな強みであり魅力なのである。

Profile of the project members

※内容は、取材当時のものです。