AI(人工知能)の歴史

2018/12/18

AMOサービス部

はじめに

ソリューション技術グループAMOサービス部の髙澤です。当部のAI担当をしています。本稿では、現在のAIブームをAIの歴史とともに解説したのちAMOサービス部におけるAIを活用した自動化の取組について紹介いたします。


世の中は空前のAIブームです。新聞やニュース等でも「AI」という言葉を聞かない日はないと言っても過言ではありません。このAIブームによりAIがつい最近登場したと思っている人も多いかもしれませんが、実は3回目のAIブームなのです。

 ゲーム好きの方はご存知かもしれませんが、1990年に発売された「ドラゴンクエストIV 導かれし者たち」ではAI戦闘が導入されており、味方キャラクターはあらかじめ指定した作戦により自動的に行動します。また、戦闘の中でモンスターの弱点や特性を学習する機能も搭載されていました。

本稿では過去のAIブームがどのようなものであったのか、AIの歴史について解説したいと思います。

第一次AIブーム(1950年代後半~1960年代)

時代はコンピュータが世の中に登場した頃です。「推論・探索」をコンピュータで行うことができるようになったためAIブームとなりました。「推論・探索」とは、パズルや迷路を解くようなイメージです。ただし、パズルや迷路といった、決められた制約の中で最適解を見つける問題(トイ・プロブレム)を解くことができても、現実社会の課題を解決するに至りませんでした。そのため、AIブームは急激に冷め、冬の時代を迎えます。

第二次AIブーム(1980年代)

第二次AIブームは企業や家庭にコンピュータが導入されはじめた時期に発生しました。キーワードは知識表現です。コンピュータに大量の知識を与え、まるでその分野の専門家のように振る舞うシステムが次々に開発されました。冒頭でお話しした「ドラゴンクエストIV 導かれし者たち」が発売されたのはこの時期にあたります。

第一次AIブームと比較すると成功したと言われていますが、知識を教え込む作業が難しく手間がかかり、知識を管理するのも困難であるため、ブームは消滅し再度冬の時代を迎えます。

第三次AIブーム(2000年代~現在)

現在のAIブームは皆さんも普段からよく耳にする「ディープラーニング」が火付け役となっています。「ディープラーニング」では、人間が知識を教え込むのではなく、人工知能が自ら知識を得ることができます。実現するためには、大量のデータ(ビッグデータ)とそれを処理できる処理性能が必要となってくるのですが、インターネットやクラウドコンピューティングの普及により膨大なデータの保存や管理が可能となり、コンピュータの性能は年々急速に向上しているため、現在では実現可能となっています。

この第三次AIブームは、将棋AIがプロ棋士に勝ったことや、シンギュラリティの到来により人工知能が人間を超えるのではないかと言われていることもあり、過去最大のAIブームとなっています。

 


※『人工知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの』
(Kindle版(2015年3月9日刊行本が底本)、位置No.630/2676、松尾 豊、角川EPUB選書)

AIブームは終了?

調査会社のガートナージャパンが今年10月に発表した「日本におけるテクノロジのハイプ・サイクル:2018年」※には「昨年、ピークにあると評価した『人工知能』『ブロックチェーン』に対する期待はピークを超え、『幻滅期』へと坂を下りつつあります。」とあり、これをAIブームの終焉とする見方もあるようですが、私はそうは思っていません。一般の人でも人工知能でできること/できないことが少しずつわかってきたことで夢物語を抱くブームのピークは超えましたが、ハイプ・サイクルの通り、一旦「幻滅期」を迎えたあと「啓蒙活動期」を経て「生産性の安定期」に向かっていくと思っています。自動運転車を始め世界中で人工知能のビジネスへの適用が急速に進んできており、冬の時代というほど長い期間の幻滅期ではないのでは、とも想定しています。

 

※Gartner, プレスリリース, 2018年10月11日「ガートナー、「日本におけるテクノロジのハイプ・サイクル:2018年」を発表」https://www.gartner.co.jp/press/pdf/pr20181011-01.pdf

AIに仕事を奪われる?!

日々のニュースで話題になりますが、間違いなく多くの仕事がAIに奪われます。ただし、技術の進歩により仕事が奪われること自体は今に始まったことではありません。例えば、車の発明によって御者の仕事がなくなったときのように。

一方、人工知能は「常識」や「マナー」を持つことが苦手です。常識やマナーは人間がこれまでの長い生活の中で培ってきたものなので、単純に人工知能に知識を与えたとしても簡単に習得できるものではありません。

そのような人工知能の特性を踏まえたうえで、今後人工知能に代替される業務が何かを見極め、それらの業務はいち早くAI化し、人材をシフトすることが組織としては重要だと考えています。

当部の取組

私の所属するAMOサービス部では、保守運用業務へのAIやRPAの導入を進めています。RPAとはRobotic Process Automationの略で、ロボットによる処理の自動化を指します。AIが知識を元に分析や判断を行うのに対し、RPAは人間の処理を覚えさせてロボットに代行させることを言います。

 

 

当部では具体的には業務を以下4つの象限に分け①から④の順で自動化を順次進めています。 

 


※2018年2月27日付 日本経済新聞朝刊 『AIと働き方(中)多様なフリーランス台頭』を参考にして三井情報が作成

 

第Ⅳ象限は定型的な作業であり、かつ作業労働であるため、最も自動化しやすい業務と言えます。AIを使わずともRPAで実現できる業務も多くあります。第Ⅲ象限では定型的な作業ですが知識労働に相当する業務であるため、学習を行うことができる人工知能が必要となってきます。第Ⅱ象限、第Ⅰ象限では非定型な作業となるため、難易度はグッとあがります。現在はこの2つの象限の自動化には着手できていませんが、将来的には自動化を実現させたいと考えています。

最終目標は、保守運用業務の全自動化です!

 

 また、人材育成も積極的に行っています。私が講師となり、若手メンバーに向けにAIのハンズオン研修を実施しています。研修参加者には機械学習のコンテストに参加してもらい、実戦的なスキルを身につけてもらっています。また、人工知能学会への参加などによる情報収集や、資格取得も積極的に行っています。

 

日本ディープラーニング協会ジェネラリスト検定(G検定)合格

終わりに

現在、世界では70万人ものAI人材が不足していると言われています。今後は、AIはブームとして扱われるのではなく、ビジネスや日常生活に当たり前の存在として溶け込んでいくのではないでしょうか。まるで電気などのインフラのように。。。

そのような時代を牽引していくために、個人としても会社としても今後も積極的にAIの導入・人材育成に取り組んでいきます。

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