桔梗原:
戦略を具現化するために、どのような取り組みを進めていますか。
小日山:
社会・ビジネス環境が複雑かつ多様化する中、単一の企業だけでお客様に最適な価値を提供することは困難です。そこでお客様、そして業種・業界を横断したパートナーと共に「共創」事業に取り組み、「価値創造企業・三井情報」への変革を進めています。
例えば、営業と技術を融合させた新チームを発足させたことはその1つです。営業と技術部門が一体となって、お客様本位のソリューションを開発・提供する活動を始めました。
基盤系エンジニアとアプリケーションエンジニアの融合も進めています。これまでは、ICTインフラとアプリケーションそれぞれの技術領域の境界がはっきりとしていましたが、近年は「つなぐ」力が重要となってきており、今後のエンジニアはその両方を体得しておく必要があります。こうしたICT総合技術力を生かしたチーム体制で、お客様のニーズを満たすだけではなく将来を見据えて積極的に最先端技術に取り組んでいくことが重要だと考えています。
さらに、上流からお客様のビジネスに関わることのできる人材も必要です。長年培った業務ナレッジを生かし、新しい事業やビジネスモデルの構築を支援するビジネスコンサルタント人材の育成も進めています。
桔梗原:
ソリューションレベルでは、どのような分野に力を入れていますか。
小日山:
基幹を支えるSAPシステムの構築・運用を長年手掛けてきた強みを生かし、クラウド化を含めたSAP S/4HANAへのマイグレーションをサポートしています。そのために、パートナーであるインド大手IT企業テックマヒンドラとの協業体制も強化しました。もちろん、SAP以外のオンプレミス環境のクラウド化やSaaSとの連携にも対応します。
将来的には超高速のインターネット技術の普及、多様なクラウドサービスの提供などにより、企業がプライベート環境でネットワークを構築する必然性は薄れ、各情報端末が無線などの技術によって、ダイレクトにクラウドにアクセスできるようになってくると思っています。企業ネットワークにおける閉域網という概念はなくなり、代わってより柔軟なネットワークの必要性が高まる。そんな未来を見据えて、SDN事業や5Gの研究にも力を入れています。
2018年9月には三井物産がグローバル約40カ国の海外拠点で使用するSAP ERPをSAP S/4HANAへ移行する大規模移行プロジェクトがスタートしました。当社がプロジェクトの中心的役割を担っています。また、金融系ソリューションを数多く構築・運用してきた実績を生かし、国内ベンチャーや海外企業と協力してフィンテック関連のトライアルも進めています。国内事業を基盤としつつ、グローバルでの事業展開も加速していきます。さらに、SD-LANやSD-WANについても海外を含めた大規模なプロジェクトもスタートしています。