三井情報株式会社
執行役員
ソリューション技術グループ
グループ長
辰巳 英策氏
政府は2018年6月、政府系情報システムの方向性として「クラウド・バイ・デフォルト原則」を打ち出した。既にクラウドは優先度の高い選択肢となったといえるだろう。今後もクラウドの積極的な利活用によるハイブリッドクラウド化やマルチクラウド化が進んでいくはずだ。
クラウド戦略を推し進める上で最も重要なことは何か。それはICT全体のグランドデザインを描くこと。何をどう変革し、どのような価値創出を目指すのか。その中でクラウドをどのように活用するかを定義する必要がある。
三井情報(以下、MKI)では、この支援に向けた準備を進めてきたという。「親会社である三井物産の基幹系システムをはじめ、多くのお客様のビジネスを支えるシステムの設計・構築・運用を長年にわたり手掛け、その中でネットワークと音声インフラを中心とした『ITインフラ』および業務を支える『アプリケーション』の両方のナレッジを培ってきました。これをベースに、幅広い業種のお客様のクラウドシフトを支援しています」と話すのは同社の辰巳 英策氏だ。
まずITインフラについては、大手通信キャリアが提供するWi-Fiサービス、楽天生命パーク宮城などのスタジアムWi-Fi環境の構築も手掛けたという。
東中野にあるMKI IDEA Lab.(アイデアラボ)内には、無線LAN端末などの疑似が可能なトラフィックジェネレーター環境があり、仕様上ではわからない製品の特長や性能を見える化する評価・検証など、Wi-Fi技術に力を入れている。
三井情報株式会社
ソリューション技術グループ
次世代基盤システム開発部
部長
山本 篤氏
また、VMwareをはじめとするサーバーやストレージの仮想化基盤を数多く構築・運用している。近年注目が高まっているHCI(ハイパーコンバージド インフラストラクチャ)も黎明期から社内検証を進めてきた。「インフラをシンプル化するHCIのメリットを最大限に引き出す構築自動化ツールなどを開発・提供しています」と同社の山本 篤氏は話す。
社内の様々なシステムや遠隔拠点とつなぐネットワーク領域にも大きな強みを持っている。30年以上前から世界的なネットワーク機器ベンダーとパートナー契約を結び、現在もシスコシステムズ、フォーティネット社などと緊密なパートナー関係を構築している。「マルチベンダーの立場から、お客様視点で最適な製品を組み合わせ、性能とコストをベストマッチさせたソリューションを提供できます」と辰巳氏は強みを述べる。
ネットワーク仮想化技術として注目が高まっているSDNの研究と技術力強化にも積極的に取り組んでいる。「データセンター内のネットワークを仮想化するSDN技術に早くから取り組み、現在はオンプレミスやプライベートクラウドの仮想化基盤をHCIで構築し、パブリッククラウドとの接続をSD-WANで実現する、ハイブリッドクラウド化も支援できます」と山本氏は話す。
ネットワーク機器の機能を仮想化する「NFV(Network Functions Virtualization)」の研究と活用にも早くから着手。国内有数の自治体情報セキュリティクラウドも構築した実績がある。「サーバーやストレージの柔軟なリソースの割り当て、SDNによるソフトウエア制御可能なネットワークとセキュリティ機能を提供する統合仮想化基盤を実現しています」(山本氏)。
加えて、MKIは音声インフラの構築・運用も多く手掛けている。音声インフラは企業のコミュニケーションを支える重要な基盤の1つ。CRMとの連携によるコンタクトセンターなど、アプリ、音声、ネットワーク技術を組み合わせたソリューション構築実績も豊富だ。コンタクトセンターの構築実績は500社を超える。