こうした高品質なICTソリューション/サービスを提供する上で、欠かせないアセットが「人材」である。社員一人ひとりの技術力を高め、それを組織力強化につなげていくため、高度IT人材の育成を目的とした教育カリキュラムを「MKIアカデミー」として体系化(図2)。技術力の「全体の底上げ」と価値作りをリードする「とんがり人材の育成」という両面から推進している。
「MKIアカデミーのカリキュラムには、共創による価値づくりやデザインシンキングの方法論など、MKIがこれまでの経験で培った独自メソッドも盛り込んでいます」(加藤氏)
まず基礎教育ではコンピュータの基礎技術・基礎理論からプログラミング、ネットワーキング、セキュリティ、データサイエンスなど幅広い分野の知識・スキル習得を図り、実戦力と応用力を養う。
ここにはPMやアーキテクト、コンサルタントなどを育成する専門コースも用意されている。この一環として、注力技術者育成制度を整備。10名弱の人材を選抜し、2年間、専門分野の技術学習に専念させる。「専門分野を履修した“とんがり人材”がプロジェクトに入り、付加価値づくりやプロジェクト全体の技術力、品質の向上を促す。そういう好循環を生み出すのが狙いです」と加藤氏は話す。
基礎教育、専門教育を通して力を入れているのがデータ分析研修だ。今年度も技術部門全員を対象に実施している。ビジネスのデジタル化が進む中、データの重要性がますます高まっている。“とんがり人材”とともに、データから価値を生むデータサイエンティストの育成と拡充を進めている。
技術レベルを客観的な評価指標で診断する仕組みも整えた。基礎技術力のスキル診断には世界共通のアセスメントツール「GAIT」を、応用技術力のスキル診断にはITSSをベースとした技術力診断を活用する。技術レベルはベーシックからプリンシパルまで5段階ある。技術者の認定制度も整備し技術力向上を促す。
MKIアカデミーと並行して、システムの構築力とデザイン力を養う「開発技術部」も新設する。同部はソリューション開発に伴うプログラミング作業を一手に引き受ける部署。「MKIアカデミーの座学と並行して、主に入社2年目までの新入社員は、とにかくモノづくりの実践をやってもらいます。従来の新入社員はほかの技術者が作った設計書やプログラムを見て覚えることが中心でしたが、何も無いところから数多くのモノづくりを実践することで、単にプログラミング技術だけでなく、システムの標準化や構築力、デザイン力や新たなアイデアを出す力など『技術者として考える力』を身に付けさせ、従来以上に早く・大きく活躍できることを期待しています」と人見氏は狙いを語る。
パートナー戦略も見直しを図った。技術系の役務パートナーとの関係は単なる受発注の関係を超え、より相互信頼をベースとした深い関係へと深化させている。これに加え、技術と事業の両輪で連携するパートナー戦略を強化。マイクロソフト、SAP、シスコシステムズ、デルテクノロジーズなど世界の先進テクノロジーを牽引するグローバルICTベンダーとのエコシステムを構築、さらに海外も含めたクラウドサービスやデータ分析などのスタートアップとの連携を強化し、アイデアを素早く形にしていく。
東京・東中野オフィスにある先端技術センター(ATC)がその活動拠点になる。ATCには多様なベンダーのハードウエア、ソフトウエアを組み合わせた技術検証環境MKI IDEA Lab.(アイデアラボ)を構えている。パートナー企業や顧客とともに、ここでコラボレーションを進め、新しい価値の創出につながる新技術の実効性や有用性を日々検証している。
こうした取り組みのすべては、顧客にとっての真のパートナーになるためだ。今後もMKIはSoR×SoEの実践で培ったICT技術力を強みに、AIやIoT、クラウド、ビッグデータなどの活用によるDXを推進し、顧客事業変革や新たなビジネス創出を強力に支援していく考えだ。