コンタクトセンター業務に生成AIは使える?後処理業務の効率化について検証してみた

はじめに

近年、コンタクトセンター(コールセンター)業務にも生成AIを活用する動きが加速しています。人手不足やそれに伴うオペレーター応対品質の低下といった、コンタクトセンター業務が抱える課題の解決を中心にさまざまな生成AIの活用方法が考えられますが、まずは後処理業務の効率化から導入をはじめている企業様が多いようです。

というのも、AI活用においては、「ハルシネーション」と呼ばれているAIが事実とは異なる情報を生成する現象が確認されており、お客様とのやり取りにAIを利用することで嘘の情報を伝えてしまうリスクが懸念されるためです。そのため、まずはハルシネーションがもし発生しても修正が効き、お客様に直接の影響を与えない社内の業務効率化への活用から検討が進んでいる状況です。

そこで、弊社でも、後処理業務に生成AIを使って効率化できるかを実際に検証してみました。本記事では、その内容をご紹介したいと思います。

今回の検証対象:通話内容の書き起こしと要約 ~音声認識ソリューションと生成AIでお客様との通話内容を要約して、Salesforce Service Cloudに登録

今回の検証では、お客様との通話内容を要約してSalesforceのService Cloudのケースとして登録する後処理業務を対象としています。

通話の内容を文字に書き起こして端的にまとめる作業は、オペレーターによって粒度や質にばらつきが出てしまいますが、生成AIを使って自動作成ができるようになると、作業にかかる時間が減るだけでなく、要約した内容の平準化にもつながるというメリットがあります。

システム構成

システム構成:通話内容の書き起こしと要約

お客様との通話内容の書き起こし(テキスト化)には、Genesysの音声文字変換機能EVTS(Extended Voice Transcription Services)を利用しています。この機能は、裏ではMicrosoft Azure Speech-to-Textが使われています。

参考サイト)Genesys Cloud リソースセンター:音声文字変換– Amazon、Google、Microsoftなどのサードパーティを使用して音声文字変換はサポートされていますか?

※ご利用にはGenesys Cloud EX ライセンスかつ、Genesys Cloud CX 1 WEM Add-on II、Genesys Cloud CX 2 WEM Add-on IまたはGenesys Cloud CX 3ライセンスが必要です。

まずは、EVTSで書き起こした会話の内容をAWS上に構築した検証アプリに送信します。検証シナリオは、自動車保険の種類についてのお問合せに回答し、申込手続のご案内を行ったという会話を想定しています。

Genesys Cloudから連携された、お客様との会話内容

今回の検証では、生成AIサービスはAzure OpenAI ServiceをAPI連携しています。Azure OpenAI Serviceでお客様とやり取りした会話内容を要約しアプリに表示させているので、オペレーターは書き起こされたお客様との会話内容に加えて要約内容を1画面で確認することができます。

今回の検証では、要約した内容をService Cloudのケースの件名と要約内容として登録するところまでを、生成AIを活用して自動化することができました。

Genesys Cloudから連携された、お客様との会話内容

生成AIがService Cloudのケースに登録してくれた内容↓
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件名
自動車保険についての質問

要約内容
顧客のお名前:山田太郎
質問内容:自動車保険の種類について詳しく教えてほしい
対応内容:対人賠償責任保険と車両保険の詳細を説明
顧客の希望:対人賠償責任保険と車両保険を組みたい
申し込み手続きの情報:お名前:山田太郎、住所:東京都渋谷区1-2-3、車両情報:トヨタカローラ、ナンバープレート:あ-1234
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まとめ

要約内容に過不足があれば加筆修正する必要はあるものの、オペレーターが自分で1から入力する必要がなくなるため、通話履歴を要約してシステムに登録する後処理業務の時間短縮や、登録内容の平準化に生成AIはかなり役立ちそうです(SVが登録内容をチェックをする手間も減りそうです)。

最後に…宣伝になりますが、弊社ではGenesys CloudやSalesforceの導入構築支援を行っております。Genesys CloudやService Cloudを使われていて、後処理業務への生成AI活用をご検討されていましたら、ぜひお気軽にご相談ください。