「AIに任せていい問い合わせ」はどこまで?
生活者1,781人の声から読み解く、金融コンタクトセンターのAI活用のヒント

金融機関のコンタクトセンターにおけるAI活用の検討が急速に進む中、現場のご担当者からよくお聞きするのが、こんな声です。

「ボイスボットやチャットボットを導入したいが、お客様がどこまで受け入れてくれるのか」「AIに任せる問い合わせと、有人対応すべき問い合わせをどう線引きすればよいか分からない」——社内でAI活用の方針を立てようにも、「生活者の声」という根拠がなければ、議論は空回りしがちではないでしょうか。

このたび三井情報は、金融機関のカスタマーセンターを実際に利用した経験を持つ全国の20〜70代男女・1,781名を対象に、「金融機関カスタマーセンター利用者のAI受容度調査」を実施しました。

本記事では、その主要な調査結果をご紹介します。

ポイント① 定型問い合わせのAI受容度は7〜8割も、「高リスク領域」では傾向が異なる結果に

問い合わせ内容別のAI受容度マトリクス

残高照会や手続き方法の案内といった定型的な問い合わせでは、「AIだけで対応してよい」「まずAIでよい」という回答が7〜8割に達しました。こうした領域でのAI活用は、顧客側からも一定以上の受容性が得られる可能性を示しているといえそうです。

一方で、「不正利用の疑いなど緊急性の高い相談」「ローン・投資・保険などの商品内容説明・相談」では、「最初から人に対応してほしい」という回答が多数を占めました。内容の複雑さやリスクの高さに応じた使い分けの設計が、あらためて重要なテーマとして浮かび上がってきます。

ポイント② AI受容の「前提条件」は、透明性と切り替えの自由

AI応対でも使いたいと思える条件Top5

注目したいのは、AI応対への受容性を左右する条件です。調査では8割以上が「応対者がAIなのか人なのか、事前に教えてほしい」と回答。また約6割が「希望すればすぐに人のオペレーターにつながること」を安心条件として挙げています。

顧客が求めているのは、「AIか人か」を知る権利と、「いつでも切り替えられる」というコントロール権なのかもしれません。この結果は、ボイスボットやチャットボット導入時の設計を考えるうえで、ひとつの参考になるのではないでしょうか。

ポイント③ 「AIが人を支える」文脈では、バックエンド活用への受容性が高い傾向

会話データの分析:利用目的別の受容度

会話データをもとに応対品質向上やオペレーター教育に役立てることについては、約7割が肯定的な姿勢を示しています。オペレーター支援AIについても、「正確で迅速な回答が期待できる」「新人でも一定レベルの応対ができそう」といったポジティブな評価が目立ちます。

「AIが人を置き換える」のではなく「AIが人を支える」という文脈での発信が、顧客の理解を得やすい可能性を示唆しています。社内でのAI推進における伝え方を考えるうえでも、参考になる視点かもしれません。

レポートでは、さらに詳細な分析を公開しています

本記事では調査結果の一部のみをご紹介しました。無料でダウンロードできる調査レポートでは、以下の内容を詳しく掲載しています。

  • 年代別・性別クロス分析(生成AI利用経験・印象)
  • 問い合わせ内容別のAI受容度(全設問グラフ付き)
  • AI応対への不安要因と、受容を促す条件の詳細整理
  • 会話データの利用目的別AI受容度

金融機関のコンタクトセンターにおけるAI導入・高度化の検討を進めている方、自社の方針策定や社内合意形成の材料をお探しの方に、ぜひご参考にしていただければ幸いです。