データマネジメントについて

2022/02/09
DXコンサルティング部 第三技術室

はじめに

近年、ビッグデータ時代となりデータ量の増大やコンピュータ処理能力の向上によりAIの技術革新が進んでいます。そうした技術を活用してデータドリブン経営を進める企業も増えてきました。変化の激しい昨今、データ利活用は企業成長に欠かせない重要な役割を担っており、整備されたデータを使いたいタイミングで使えることの重要性は益々増しています。データは経営資産であり、如何に適切にデータマネジメントできるかがビジネスの成功の鍵と言えるでしょう。一方でデータマネジメントには以下のような難しさがあります。

・様々な業務システムが混在し、データがシステムや組織毎に分散・サイロ化されている状況で、経営判断に資するインサイトを構築できるようにデータを連携し統合管理しなければならない。

・AI技術等の台頭により、従来の構造化データだけでなく、画像や音声等の非構造化データも管理すべき対象となり、管理対象が膨大で対象範囲が広くなった。

・コンプライアンス意識の高まりにより、データセキュリティや品質を含めたデータに対する説明責任を求められる時代になりつつあり、データ品質を担保する仕組みづくりが要求される。


本記事では、データマネジメントに焦点を当て、上記のような難しさを解消し、データマネジメントを成功させるために必要なアプローチをご紹介します。

データマネジメントとは

一般社団法人日本データマネジメント・コンソーシアムによると、「データマネジメントとは、ビジネスの成長と成果のために『データをビジネスに活かすことができる状態を継続的に維持、さらに進化させていくための組織的な営み』によりデータを利活用すること」定義されています。(*1)

このデータマネジメントを行う上で必要な羅針盤として「DAMA-DMBOK」(以下 DMBOK)があります。

DMBOKとはData Management Body of Knowledgeの略称であり、米国に本部があるDAMA(Data Management Association)Internationalが提唱しているものです。11の知識体系から構成され、車輪に見立てたホイール図が特徴的で、各領域に対して、入力とアクティビティと成果物が定義されており、データマネジメントに必要な活動を理解するのに参考になります。


以下DAMAホイール図です。

■DAMAホイール図(*2)

 

DMBOKの意義は、広範かつ、複雑であるデータマネジメント分野に関し、データマネジメントを行う上で共通概念を提示していることです。これにより、表面的なデータ保管に留まらず、効果的かつ一貫性のあるデータマネジメント活動を行うことが期待されます。

 

(*1)出典:一般社団法人日本データマネジメント・コンソーシアムウェブサイト 「データマネジメントとは」(https://japan-dmc.org/about/?page_id=13)(2022年2月9日に利用)

(*2)出典:DAMA日本支部ウェブサイト 「DAMA DMBOKとは」(https://www.dama-japan.org/Introduction.html)(2022年2月9日に利用)

データマネジメントを進めるアプローチ

DMBOKはデータマネジメントに関する自社の状況理解やプロジェクトを推進する上で強力な拠り所になる一方で、概要レベルのフレームワークであり、詳細なプロジェクトの実施手順や成果物テンプレートが示されているわけではありません。また企業や組織によってはデータマネジメントの成熟度も異なりますので、アセスメントを通して自社の状況を正しく理解した上で適切な優先順位をつけて推進していく必要があります。

データマネジメントの本質は、データをビジネスの意思決定に活かすために、組織、プロセス、技術的な仕組みを確立していくことにありますが、広範な領域をカバーしていることからこそ、目的や意義を定めた上で、スモールスタートで手順、ルールや成果物を定め、ビジネス成果を確かめながら進めていくことが重要になります。以下にデータマネジメントを進める上での3つのポイントを記載します。

1. 目的を明確化する

データマネジメントを成功させるためには、目的の明確化が重要です。

データは保管しているだけでは意味を成さないため、データをどのような目的でどのように活用していくのかを事前に決めておくことが必要不可欠です。

現状の課題と将来の理想像を具体的にイメージしゴールを明確にすることが出来れば、データマネジメントの方向性が固まり効率的なデータ活用を実現できます。

2. 小規模から開始する

データマネジメントを成功に導くためには、小規模からの開始が重要です。

いきなり全てのデータを対象とすると、作業工数が膨大となりデータマネジメント導入のハードルが高くなります。

そのため最初は特定のデータに焦点を絞り、導入できそうなところからスタートさせ徐々に範囲を広げていく、成功したらその手法を横展開して導入範囲を拡大していくことをお勧めします。

3. データ活用における体制、ルールを整備する

上述の「データガバナンス」の観点からも体制やルール作りを行っておくことが重要です。

データマネジメントの責任者、データ品質やルールの順守状況のモニタリング、定期報告といった組織内の基本体制をデータガバナンスによって整えることで、安心してデータを活用できる体制が構築されます。

大規模組織ほど全体の統制が難しくなるので、きちんとガバナンスを行いながらデータ管理の基礎を固める必要があります。

 

 

冒頭でデータマネジメントの難しさとして、サイロ化されたシステムのデータを統合管理しなければならないこと、管理対象が膨大(構造化データだけでなく非構造化データも管理対象)であること、データの品質担保が要求されることを挙げました。

上述のデータマネジメントを進める3つのポイントを押さえることで、データマネジメントの難しさを低減し、よりスムーズに適切なデータマネジメントを実施するができるでしょう。

おわりに

本記事では、データマネジメントの概要、フレームワークであるDMBOK、そしてデータマネジメントの効率的な進め方についてご紹介しました。

データ利活用は、DX推進における重要な鍵を握ります。
そして企業の持つデータが十分なパフォーマンスを発揮するためには、データマネジメントが必要不可欠です。
またデータマネジメントは一度やって終わり、というものではありません。

実際にデータを運用すると、新しい課題や利便性をより向上させたいとの要望が出てくることもあります。

必要に応じて、データマネジメントの見直し、改善を行なうことで最適なデータ利活用に近づけられます。

当社は、適切なデータマネジメントを施し、企業のDXを支援しております。
データマネジメントにご興味のある方は、是非ご連絡ください。

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