多言語AI通訳Wordlyでボーダーレスな会議を

2022/03/16
パートナー第二営業部 第二営業室

はじめに - SFが現実になった世界 -

突然ですが、SF(Science Fiction)と聞くとどのようなイメージを浮かべますか?

その名の通り、現実離れした空想事という印象がある方も多いのではないでしょうか。しかし、子供の頃にSFの世界で描かれた技術の中には、現実になっているものも多くあります。例えばスマートウォッチやスマートフォンは既に広く利用されていますし、宇宙旅行、空飛ぶ車、自動運転の実用化も目前まで迫っています。

今ではすっかり日常の景色になったWeb会議(TV会議も含めて)もSF世界で描かれる未来の技術の1つでした。コロナ禍による在宅勤務の拡大に伴い急速に普及し、「オンライン○○」、「Zoom映え」といった言葉が流行したことはご記憶に新しいでしょう。

このWeb会議、国内だけでなく海外とのコミュニケーションに利用している方も多いと思います。渡航にかかる費用・時間を抑えつつ、複数名が、同時に顔を見ながらコミュニケーションを取れることは大きなメリットです。

しかし、Web会議により世界の距離が縮まっても、依然立ちはだかるのが言葉の壁。

ここでSFの代表格、AI(Artificial Intelligence:人工知能)の登場です。

言葉の壁をどうするか

会議の参加者が共通言語でやり取りできない場合、これまでは以下のどちらかで対応するケースが多かったのではないでしょうか。

1.外国語を話せる社員をメンバーにアサインする
2.外部の同時通訳を雇って会議に参加させる

しかし1.の場合、当該メンバーが余程流暢でない限り本人に余計なストレスがかかったり、外国語を話せる一部のメンバーに仕事が集中しいわゆる属人化となる可能性があります。

2.の場合はまず費用や商談内容等の背景知識を説明する手間が発生しますし、通訳者のスキルを事前に把握しにくい点も不安要素となります。

またいずれのケースでもアサインに手間取り、会議が先延ばしになる可能性があります。それではWeb会議のメリットである即時性を活かしきれず、ビジネスチャンスの喪失につながってしまいます。

こうした課題を解決し、海外とのスムーズなコミュニケーションを実現してくれるのが、AI通訳です。

AIによる機械翻訳精度の向上

AIの歴史を振り返ると、過去2回のAIブーム(推論と探索による1950年代の第一次AIブーム、エキスパートシステムによる1980年代の第二次AIブーム)を経て、本格的な普及に繋がったのは「ビッグデータ」、「機械学習」の登場による2000年代からの第三次AIブームと言われています。

この機械学習のアルゴリズムの1つ「ニューラルネットワーク」が、機械翻訳の飛躍的な精度向上に貢献しました。

機械翻訳の歴史は古く、1933年まで遡ることができるとされています。しかし、1970年頃までは高価、不正確、将来性がないとされ注目されることはありませんでした。

その後、語順の変換規則や辞書など事前に用意されたデータを利用して訳文を導き出すルールベースの機械翻訳が主流となりますが、ニュアンスの違いが拾えず、不自然な表現が課題となっていました。それが2016年、Googleがニューラルネットワークに基づく機械翻訳 (Neural Machine Translation)を採用したことで大きな転機が訪れます。

ニューラルネットワークに基づく機械翻訳ではAIに大量の訳文を学習させることで、従来のルールベースでは対応出来なかったニュアンスの違いに対応出来るようになり、より自然な翻訳が可能となりました。また最近では、以前の機械翻訳では対応できなかった特定の業種内で使われる専門用語にも対応できるようになってきています。

近年では学習機能の搭載により、プロの翻訳者と同レベルの精度を持ったAIも登場し、品質・コストの両面において大きなメリットを持つようになりました。

AI通訳の普及

機械翻訳は長らく翻訳(文書ベースでの言語変換)の場面において利用されてきましたが、AIにより多言語音声認識の精度が実用的なレベルに達したことにより、通訳(会話ベースでの言語変換)にも活用されはじめました。

国内では既に訪日外国人旅行者や英語以外の言語を母国語とする在日外国人の増加に対応する目的でAI通訳の利用が拡がっていますが、2020年3月に総務省が策定した「グローバルコミュニケーション計画2025」(*1)では「2025年 文脈・話者の意図等を補う同時通訳(Discussion Level)」の実現を目標に定め、2020年より「ビジネスや国際会議における議論の場面にも対応したAIによる多言語「同時通訳」の実現及び重点対応言語の拡大等のための研究開発」も始まっています。

 

(*1)出典:「令和3年版情報通信白書」(総務省) https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r03/html/nd257220.html

AI通訳 ☓ Web会議

AI通訳とWeb会議が揃ったことで、参加者が自宅やいつものオフィスから、各々好きな言語を使ってコミュニケーションが取れる時代がやってきました。

三井情報では、Web会議システムで働く場所に縛られないコミュニケーションを支援する「MEDACAビデオ会議コミュニケーションサービス」から多言語AI通訳「Wordly」の提供を開始しました。

WordlyはWeb会議ツールに依存しない、AIによるリアルタイム同時翻訳を可能にしたソリューションで、15言語を文字起こしして22の言語への同時通訳が可能です。

これまで複数言語で行われる多国籍での会議には複数の通訳者が必要でしたが、Wordlyを使うことで通訳者無しで会議を行うことができます。

おわりに

Web会議システムとWordlyの連携で、距離と言葉の壁を超えた真の意味でのボーダーレスなコミュニケーションが実現できました。

SFを「科学的な空想」(Science Fiction)から「少し先の普通」(Sukoshi-saki-no Futsu)へ変えるため、私たちはこれまで以上にお客様企業の進化を支える存在となり続けるべく挑戦してまいります。

執筆者

お問い合わせ

ページTOP
当ウェブサイトでは、サイトの利便性やサービスを改善するため、Cookieを使用しております。このまま当ウェブサイトをご利用になる場合、Cookieを使用することにご同意いただいたものとさせていただきます。Cookieに関する情報や設定については「個人情報保護方針」をご覧ください。 同意して閉じる