Wi-Fi 6をご存知ですか - 前編 -

 
2019/12/19

 

 

次世代基盤技術部  第一技術室

はじめに

みなさん、こんにちは。
さっそくですが、Wi-Fi 6をご存知ですか?

「当然、Wi-Fiは知ってるけど…6って何?」という方、多いのではないでしょうか。

そこでMKIナレッジでは、今回から2回に分けて、Wi-Fi 6についてご紹介していきます。


無線LANは、「IEEE802.11xx対応」「Wi-Fi対応」などいろいろな呼び方で呼ばれますが、厳密にいうと「IEEE802.11」は規格名称で、「Wi-Fi」は相互接続試験に合格した機器であることを示すものです。

無線LANを利用する端末やアクセスポイントはIEEE802.11で決まった規格のもと、製品に無線LANの機能を実装します。しかし、IEEE802.11は規格を定めたものなので、アクセスポイントと端末の相互接続試験方式などが規定されていません。万が一、メーカ毎の解釈で実装が異なった場合に「アクセスポイントに端末がつながらない!」などの問題が発生することがあるのです。無線LAN機器が出始めたころ、このような問題が散見されたことをきっかけに無線LAN製品の相互接続性を推進するための業界団体が設立されました。それが後のWi-Fi Allianceという団体です。このWi-Fi Allianceという団体が定めた相互接続試験項目をクリアした製品だけが“Wi-Fi”と名乗ってよいというものです。

つまり、IEEE802.11の規格を実装した製品の内、Wi-Fi Allianceが定めた相互接続性試験を合格したものだけがWi-Fiを名乗ることができるのです。しかし、最近では「Wi-Fi」という呼びやすい名前のほうが一般的になり、そういう区別としてではなく総称として「Wi-Fi」と呼ばれていますね。
そうすると「Wi-Fi」と一言で言っても、いろんな規格があって新旧規格を判断することができなくなってきてしまいました。こういう背景から、新しい規格からは、広く一般的に世代を分かりやすく呼び名をつけようということになり、「IEEE802.11ax」を「Wi-Fi 6」と名付けたわけです。それに伴って、現在主流のIEEE802.11acはWi-Fi 5、もう一世代前のIEEE802.11nはWi-Fi 4というかたちで世代を分かりやすく表記することになりました。

 

 対応規格 正式名称 略称
 IEEE 802.11n  Wi-Fi CERTIFIED 4  Wi-Fi 4
  IEEE 802.11ac  Wi-Fi CERTIFIED 5  Wi-Fi 5
  IEEE 802.11ax  Wi-Fi CERTIFIED 6  Wi-Fi 6

 

これでWi-Fiの世代が一目でわかるようになり、一般の方にもわかりやすい!というわけです。

ただ、これまでWi-Fi Allianceの接続試験を合格したものだけがWi-Fi対応と名乗ってよかったのですが、いまは混ぜて使われるようになってしまっているのが実情です。今後は「Wi-Fi 6対応」という言葉では区別ができないため「Wi-Fi 6認証製品」かどうかを確認することをお勧めしたいと思います。

こんなに身近でメジャーな技術だけど・・・

無線LANは2000年よりも前に規格化され、一般家庭や企業でも使われてはいましたが、スマートフォンやタブレット端末等のスマートデバイスがきっかけで爆発的な広がりを遂げました。現在では皆さん、家でも会社でもどこでもWi-Fi(無線LAN)を利用しているのではないでしょうか。
多くのデバイスを収容できるように高速化がはかられ、最新のWi-Fi 6では最大伝送速度は9.6Gbpsになりました。(※実際のオフィス設計では、チャネルがたくさん利用できないのでそんなに速い速度はでませんが)
ただ、いまだに「え?」といわれることがあるのですが「実はWi-Fi(無線LAN)は半二重通信」です。

有線LANは、LANケーブル内で送信用と受信用の線(経路)が物理的に分かれていて通信用の装置が全二重通信を許可している場合は、データの送受信を同時に行ってもケーブル内で信号が衝突することはありません。有線LANでは1990年に10base-Tで全二重通信になりました。
しかしWi-Fi(無線LAN)にはケーブルがなく、端末とアクセスポイントで同じ周波数を利用してデータを伝送するため、送信と受信を同時に行うことが出来ません。

 

■有線LAN

・有線LANでは送受信の経路が物理的に分かれています。
・同時にデータ送受信しても、データは衝突しません。

 

■無線LAN(Wi-Fi)

・無線LANでは経路を2つ用意することはできません。
・同時にデータ送信するとデータは衝突します。

 

実はこの動き、端末同士でも同じことが言えます。皆さんのオフィスの天井を見上げてみてください。ところどころにアクセスポイントが設置されているのが分かると思います。(天井内に設置しているオフィスもありますが)5-10m間隔で設置されていませんか?つまり、通常のオフィスでは1台のアクセスポイントを数十人で同時に利用します。

しかし、ここでポイントなのが「同時に接続している」のであって「同時に通信している」わけではないということです。アクセスポイントと端末が同時に通信することができないように、複数の端末間宛てにも同時に通信ができません。
1台のアクセスポイントに接続している1台の端末が通信している間、ほかの端末たちは通信できる機会を待っています。
この仕組みは過去のWi-Fiだけでなく、2019年現在、主流のWi-Fi 5でも同じです。端末が増えれば増えるほど端末同士で分配しあう仕組みなのです。 

 

Wi-Fi 6の登場と改善ポイント

そんななか登場したWi-Fi 6では、PCやスマートフォン以外の家電やセンサーIoTなどの「デバイス数の急速な増加」とクラウドストレージやWeb会議、ストリーミング動画の多用と言った「大容量コンテンツ時代」の両方を乗り切るべく様々な機能が追加されました。
Wi-Fi 6の規格目標は「高密度環境(アクセスポイントおよび接続する端末の数が多い環境)において平均スループットを4倍にする」です。最高速度だけを目的とするのではなく、ユーザ体感の改善を図ることを重視しています。Wi-Fi 6のユーザメリットを挙げると特に高速化・同時通信・高密度対応・IoT考慮の4つが大きな特徴となります。

 

10Gbpsに迫る高速化

最高速度は二の次、と言いつつも改良を進めるにあたり速度向上が一番わかり易い指標です。様々な技術を組み合わせてWi-Fi 5の1.4倍となる9.6Gbpsのスループットを実現しています。
一番目立つ技術としては、一度に送れるデータを増やせる変調方式“1024QAM” が採用されたことです。
無線通信の変調方式と言うとAMやFMといったラジオのアナログ変調が有名です。人の声(0.5kHz~4kHz、340m/s)を遠くに速く送るためには、もっと周波数が高く光と同じ速さの電波(AMラジオの場合500kHz、22万km/s)に載せ替えること(=変調)で長距離かつ文字通り光速な放送が可能となる仕組みです。
この変調方式には様々な種類がありますが、Wi-Fi 5にあたるIEEE802.11acではデジタル変調方式“256QAM”と呼ばれる方式が採用されていました。この方式は一度に転送できる通信で電波の振幅や位相を織り交ぜて256種類のデータが識別可能な方法です。256種類識別できる、つまり8bit (28=256) のデータが一度に送れるということです。Wi-Fi 6ではこの方式を拡張した1024QAMですので、一度に10bit(210=1024)が送れることとなり、単純に最高速度1.25倍の高速化が図れます。
他にも伝送効率を上げるための仕組みがいくつもありますが、一旦は1024QAM変調を抑えておきましょう。

 

 

 

1024の点がそれぞれ識別できる。   電波に分解すると、振幅と位相の組み合わせで出来ている。
    

今回はここまで。

今回は、そもそも「Wi-Fiとは?」から始まり、Wi-Fi 6の概要についてお話ししてきました。
次回はWi-Fi 6の新たな機能やIoTにおける活用などについてお話しします。お楽しみに。

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