フォークリフトの点検は毎朝行っていますか? 動かなくなるので毎日の充電は欠かさず行っていても、点検まではしていない車両も多く存在しているのではないでしょうか。フォークリフトには3つの法定点検があり、怠ると罰則が課せられるケースもあります。ここではフォークリフトの法定点検の種類を解説していきます。
労働安全衛生法では定期的な車両検査が義務付けられています。毎日の始業点検、月1回の自主検査、年1回の特定自主検査が必要です。
(出典:中央労働災害防止協会「労働安全衛生規則」調べ)
作業に慣れてくるにつれ、「毎日点検しなくても大丈夫だろう」と自主点検を疎かにする作業者も考えられます。また、フォークリフトが活躍する製造業の工場では、入出荷と運搬作業を請負化しているケースも多いです。そのため、朝早くから動かしてほしいという請負元の要望に対して、迅速に応えなければならず、自主点検を疎かにする場合も考えられます。
特に24時間稼働している工場で、搬入ラックに収められている材料をライン内に運搬したい場合、現場作業者が出勤してきた請負先のフォークリフト作業者に直接指示を出してしまうことがあります。ラインを止めてしまいかねないので、作業者は自主点検を行わずに、すぐに作業を開始しようとします。こうした自主点検をしないケースに慣れてしまうと、小さな異変に気付けず放置してしまいます。結果としてフォークリフトは故障し、ラインも止めてしまうという本末転倒となる可能性があります。
それだけフォークリフトの点検はとても重要です。つぎに3つの自主点検をみていきましょう。
労働安全衛生法第151条の25には、作業開始前にフォークリフトの点検を行わなければならないとあります。これがいわゆる始業点検です。始業点検では、以下の4つが必須項目です。
作業前の点検のため、基本的には資格を必要とせず、だれでも点検可能です。機体の外回りの点検と車上での点検、エンジンルームの点検が主な内容になります。
そのほかにも、以下のような日常点検項目をチェックシートに記載しておくと、作業者も確認がしやすくなり、異常にも気付きやすくなります。
なお、始業点検の記録は保管する必要がありません。ただし、始業点検は大きな故障を防ぐためにも大切です。これが後の事故へとつながる可能性もあるので、毎日しっかりと点検するようにしましょう。
労働安全衛生規則第151条の22によると、フォークリフトは1ヶ月を超えない範囲で定期自主検査をしなければなりません。ただし、1ヶ月使用する予定がない場合は、点検を行わなくても大丈夫です。点検内容は以下になります。
点検の具体的な内容は、始業前点検よりも少し細かくなっています。
上記に加え、機体の全体的な損傷や変形、異音箇所なども点検していきます。月次点検も特別な資格は必要ありません。しかし、点検の作業記録は3年間保管しなくてはなりません。また、万が一、月次点検をしていないフォークリフトを運転した場合、50万円以下の罰金が課せられます。
毎日の点検では運転に支障がなくとも、月次点検でしっかりとチェックするようにしましょう。
労働安全衛生規則第151条の21では、1年を超えない期間ごとに特定自主検査を行わなくてはならないと定められています。こちらも1年を超える期間で使用しない場合、検査の必要はありません。以下が検査項目です。
年次点検は、有資格者のみ行えます。点検項目や検査内容も多く、通常の作業者が点検をすると、日常業務が止まってしまいます。そのため、専門業者に依頼して代車を用意してもらうケースもあります。この年次点検の記録も3年間保管しなくてはならず、点検を怠ると50万円以下の罰金となるので注意が必要です。
フォークリフトを安全に運用するためには、3つの定期的な点検が重要となります。作業開始前に行う「始業点検(作業開始前点検)」、月1回の「定期自主検査月次点検(月次点検)」、年1回の「特定自主検査(年次点検)」の3つです。また、月次点検と年次点検は記録を3年間保管する必要があり、点検を怠ると50万円以下の罰金が課せられるケースもあります。
これら点検をしっかりと行うことで、フォークリフトの故障予防につながります。さらに、故障による作業中の思わぬ事故も未然に防げるので、安心して作業ができるでしょう。
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