Boxの電子サインサービス - Box Sign

2022/03/07
クラウドソリューション部 第一技術室
第二技術室

はじめに

近年、コンテンツライフサイクルの一環として電子サインが注目されています。電子サインとは、従来の紙やハンコを利用した書面での確認ではなく、デジタルな書類に対して電子的な署名を行うことで当事者の合意意思を示すことです(*1)。電子サインを利用することで、物理的な紙のやり取りが不要となり、オンラインで署名を行うことができます。また、紙媒体の資料は保管場所に大きなスペースが必要となり、ファイリングの作業も発生しますが、電子サインであればこれらの削減を行うことでペーパーレス化が進められます。コロナ禍によるリモートワークが進む中、こうした利点により電子サインの注目は益々高まっています。

 

(*1) 署名による合意や記録について法的な真正性を証明する電子プロセスを、広く「電子サイン」と呼びます。似た言葉に「電子署名」がありますが、こちらは電子サインのうち特に第三者機関を介した証明により本人確認などを厳格化し署名の完全性を担保したものを指し、本稿では区別して使用しています。

電子サインのポイント

電子サインが署名として有効であるためにはどういったポイントを満たしていれば良いのでしょうか。またどのような技術でそれを実現しているのでしょう。

① 本人が署名していることを証明すること
 なりすましの対策が主なものとなります。電子メールやSMSを利用したもの、複数の認証方式を組み合わせた多要素認証などが挙げられます。

② 署名を行った履歴が記録されること
 誰が署名を依頼したのか、誰が承認し署名を行ったのか、そのプロセスを確認できることで処理の証拠性を担保します。システム・ログにより履歴の確認を行うことが多いです。

③ その結果が改ざんされないこと
 署名完了後にその電子書類が改ざんされることを防止する仕組みです。電子証明書を付与することで取り交わした文書データに改ざんがないことを担保します。

今回のコラムでは、電子サインサービスの例として、三井情報が取り扱うクラウドサービス“Box”において、2021年11月にリリースされた「Box Sign」をご紹介します。

~Boxとは~

BoxとはBox社が提供するSaaS型のストレージサービスです。単にファイルをクラウド上に保存するだけでなく、コラボレーションや共有リンクを使用することで内部/外部とシームレスな情報共有を実現し、コンテンツのライフサイクル全体をサポートできることが大きな特長です。世界的に広く活用されており、日本国内でも現在導入企業は10,000社を超えています。三井情報もこれまで多くのお客様のBox導入を支援してきた他、長きにわたりユーザとしてBoxを活用しています。  

 

 

Box Signについて

Box Signは、前述の3つのポイントに対応する電子サインサービスで、以下の特長があります。

● 署名リクエストの送信から、署名、署名されたドキュメントのフォルダ格納まで全プロセスをBox上で行えます。
● PC/モバイルなど、デバイスの種類を問わず、署名できます。署名者はBoxアカウントなしでも署名が可能です。
● 署名のフローについて、順行/並行のルーティングや受信者の役割設定を行うことができます。
● 署名フローのステータスをリアルタイムで確認できます。また、電子メールによるリマインダーを署名者に送信できます。
● 署名者認証と改ざん防止機能により、ドキュメントのセキュリティを確保します。

Box Signのフロー

Box Signの基本的な利用フローは「①送信者が署名してほしいドキュメントをリクエストとして送信する」→「②署名者が署名を行う」→「③署名が完了したドキュメントをBoxが保存する」というものです。

 

 

■Box Signの利用フロー


それぞれの画面を見てみましょう。

①送信者が署名してほしいドキュメントをリクエストとして送信する

署名してほしいファイルと、署名完了後にファイルを保存するフォルダを指定します。Box SignはOfficeファイル(Excel、PowerPoint、Word)、画像ファイル等の各種ファイルに対応しています。次に、署名してほしい人を設定します。このとき、宛先の順序を入力することで、順列・並列のフローを設定することができます。また、署名者に対して、SMSによる2要素認証、もしくはパスワード認証を行うように設定することができます。これにより、Boxアカウントを持っていない人に署名を依頼する際も、なりすましなどを防止することができます。


■Box Signの署名者設定画面>

 

最後に、署名者に記載してほしいフィールドを配置します。フィールドは署名欄のほかにも署名日、テキスト、チェックボックスを設定することができます。必要に応じて、通知メールのカスタマイズやリマインダーの設定を行い、準備が整ったら、署名リクエストの送信を行います。

 ■Box Signの署名フィールド設定画面

②署名者が署名を行う

署名リクエストが送信されると、署名者にはBoxから電子メールで通知が届きます。Boxアカウントを持っている署名者であれば、自身のBox Signのメニューから確認することもできます。

受信したメール本文に記載されているリンクをクリックすると、ブラウザが立ち上がり、ドキュメントが表示されるので、署名を行います。署名方法は「手書き」、「入力」から選択することができます。また、2022年1月に印影画像をアップロードし署名として利用する機能がリリースされました(*2)。これにより、日本企業で多いハンコによる署名にも対応できるようになりました。


  ■Box Signの署名画面

 

要求されている全てのフィールドへの入力完了後、「署名して完了」ボタンをクリックして完了します。

 

(*2) 印影画像のアップロード操作には、Boxアカウントが必要です。

③署名が完了したドキュメントをBoxが保存する

全ての署名が完了すると、署名を依頼した人・署名者の全員に完了メールがBoxから配信されます。Boxアカウントを持っている署名者であれば、自身のBox Signのメニューから確認することができます。

署名が完了したファイルはPDFでBoxに保存されます。元ファイルとは別で管理されますので、署名完了時の状態を保持し続けることとなります。このPDFファイルは電子サインに関する証明書がBoxにより発行されており、Adobe Acrobat Readerの署名パネルから確認することができます。署名完了後にPDFファイルを更新した場合も、その内容をAdobe Acrobat Readerで確認できるので、改ざんの検知が可能です。

また、署名完了時に署名ログファイルというものがBoxにより自動作成されます。これにより、署名した日時や署名時に行った認証方法など、詳細な履歴情報を確認することができます。

 

さらにBox Signには便利に使いこなすための以下のような機能があります。

<対面による署名>

保険申し込み時や飲食店を営業するお客様と直接面会し署名のお願いをする際、手元にハンコがないため手続きが止まるというケースは多々、発生します。このようなとき、Box Signでは、「対面署名」機能を使用して、署名プロセスを簡略化することができます。

<テンプレートの利用>

Box Signのテンプレート機能を利用することで、定型的なドキュメントや、頻繁に送信するリクエストの作業を簡略化することができます。たとえば、社内でメンバーに月次のチェックを促す確認書類で活用することができます。このテンプレート機能では、ドキュメントだけではなく、署名の順番や通知メール、署名フィールドの設定を定義することができるため、何度も使いまわすことが可能となります。

Box Signの強み

現在、クラウドでは様々な電子サインのサービスが提供されていますが、Box Signの強みは以下の二点と考えます。

・署名前後を含めたドキュメントのライフサイクル全体を管理することができる

たとえば契約書に署名するケースでは、①当事者間で契約書のすり合わせ、②社内稟議、③署名、④署名された文書を各種法律や社内規約に従い保管・管理、のようになります。
Boxが提供する各種機能を併用することで、このようなドキュメントのライフサイクル全体を一元的に管理することができます。上記の例では、社内・社外の手続きにはBoxのRelay機能を、契約締結に伴う署名にはBox Signを利用し、署名後のアクセス管理はBoxのコラボレーションで制御します。また、文書の保管期間はBoxのGovernance機能を利用することでシステム的に担保することが可能となります。

・Boxの基本ライセンスでBox Signを利用することができる

Box SignはBoxの標準機能としてリリースされました。そのため、Boxを利用する全てのユーザが、追加料金を支払うことなくBox Signを利用できます。電子サイン専用のサービスは様々な会社から提供されていますが、多機能ゆえ使いこなすために知るべきことが多くハードルが高い、有償のため社内の決裁手続きなどが必要で手軽に試せない、といったケースがあるかと思います。それに対して、Box Signはシンプルな機能で、また、既にBoxを利用していれば追加費用が発生しません。業務効率化やペーパーレス化の観点から電子サインに関心があるけれど、なかなか最初の一歩を踏み出せなかったという方も、検討してみてはいかがでしょうか。

おわりに

三井情報はこれまで3,000社以上(*3)のお客様にBoxの販売とサポート等を提供し、株式会社Box Japanより6年連続でベストカスタマーサポート賞を受賞するなど豊富な経験があります。今回ご紹介したBox Signをはじめ最新の技術の調査・検証にも積極的に取り組み、よりお客様のご要望に沿うサービスを提供するとともに、導入後のQA対応や定着化に向けたサポートも行っています。Box導入を検討される際はぜひご相談ください。

 

(*3) 2021年10月現在

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