【ローカル5Gのキホン】第2回 ローカル5Gの特徴と導入メリット

公開日:2024/01/16

第2回 ローカル5Gの特徴と導入メリット

はじめに

【ローカル5Gのキホン】第2回は、ローカル5Gが他の無線システムと比べてどのような特徴をもち、またローカル5Gを導入することでどんなメリットが得られるのかについて解説していきます。

第1回 ローカル5Gとは何か?をご覧になっていない方は、是非こちらからご覧ください。
【ローカル5Gのキホン】第1回 ローカル5Gとは何か? | 2023/12/22 | MKI (三井情報株式会社)

ローカル5Gの特徴と導入メリット

5Gネットワークの専有

高速大容量・超低遅延・多数同時接続を実現する5Gのネットワークを専有することができます。5Gのネットワークを他者と共有しないので、他の利用者の通信状況によって速度が低下することが起こらず、必要な伝送速度が得られるよう計画的に設計できるというメリットがあります。

広いエリアをカバー

無線局免許を取得する必要がありますが、Wi-Fiなどと比べて基地局の電波出力を大きくすることで、1台の基地局で広いエリアをカバーすることが可能です。屋外や大規模施設など、広いエリアをカバーしたい場合があると思います。この場合、出力が小さいWi-Fiのアクセスポイントを多数設置することに比べて、安価に展開できるメリットがあります。

干渉せず安定した通信

周波数がローカル5G専用で割り当てられたものであること、また土地単位での免許取得者が専有することから、他の無線システム利用者からの干渉を受けにくく、安定した通信速度・遅延量でネットワークを利用することができます。

端末移動時の通信継続

5Gはモバイルネットワークの規格なので、通信端末が移動することを想定しています。そのため、動き回るロボットや重機が基地局の通信エリアを跨ぐ移動をした際にも、通信が継続できるような技術仕様になっています。特に通信端末が動き回るような用途では、途切れにくいというメリットが得られます。

柔軟なカスタマイズ

通信要件に合わせてカスタマイズし、利用用途に適した5Gネットワークを構築することが可能です。例えば、上り通信の比率を高めることで、高精細映像アップロードなどの用途向けに通信速度を拡充することができます。

強固なセキュリティ

スマートフォンなどで利用されているSIM認証を用いるため、Wi-Fiよりも高いセキュリティレベルで無線通信を活用することができます。これまでセキュリティ観点の懸念が一因となり、無線通信の利用を躊躇していたユーザーにも、無線活用の検討機会が生まれたと言えます。

Wi-Fi、キャリア5G、プライベート5Gとの違い

Wi-Fiとの違い

Wi-Fiは免許不要で手軽に利用できる反面、誰でも利用できてしまうため電波干渉の懸念が大きく、一定の通信品質で継続して業務に利用したい場合に適さないケースがあります。一方、ローカル5Gは安定的に高品質な通信を利用することが可能であり、また免許を取得することで高出力の電波発射が可能なため、少ない台数で広いエリアをカバーできるというメリットもあります。

キャリア5Gとの違い

基本的にキャリア5Gは多くのユーザーに対して広いエリアで画一的にサービスを提供するため、混雑時にサービス品質低下が起こり得るデメリットがあります。一方、ローカル5Gは特定のエリアで周波数帯域を専有できるため通信品質を維持しやすく、自社の要件を満たせるように独自の無線ネットワーク設計が可能なメリットがあります。

プライベート5Gとの違い

海外ではローカル5Gのことをプライベート5Gと呼ぶのが一般的です。ただし、国内でプライベート5Gと呼ぶ場合はローカル5Gではなく、携帯通信キャリアが提供する個別ユーザー向けの専用5Gサービスを指します。プライベート5Gはキャリア5Gのリソースを一部切り出す形で提供されるため、キャリア設備の通信障害の影響を受ける可能性がある一方で、ローカル5Gは専用設備であるためBCP対策としても有効であり、また無線ネットワーク設計の柔軟性が高いので、専用ネットワークとしてのメリットを最大限生かすことが可能です。

どのような場合にローカル5Gが適しているのか?

無線の導入対象エリアが広い

例えば港湾や発電所など、特に屋外の広いエリアに無線通信環境を構築したい場合に、高出力で電波を出すことができるローカル5Gが適しています。ちなみにWi-Fiの場合、通常の出力が小さいことに加えて、利用時の制限事項が存在します。具体的には、5GHz帯ではレーダー検知による緊急停波(DFS機能)が義務付けられており、令和4年9月から利用可能となった6GHz帯では屋外利用時の出力制約が現状あります(2024年1月現在)。

上り通信速度が重視される

下り通信速度の方が高速なキャリア5Gや衛星通信サービスと比べて、ローカル5Gは上り通信速度を高速にすることができるので、遠隔監視やAI解析などの目的で高精細なカメラ映像をアップロードするような用途では、ローカル5Gが適していると言えます。

通信速度・遅延量の要件が決まっている

干渉が起こりにくく、基本的に他のユーザーと周波数を共用することのないローカル5Gでは、Wi-Fiやキャリア5Gなどと比べて通信速度や遅延量が安定しているため予測が立てやすく、これらの要件が存在する用途においては、ローカル5Gが適していると言えます。

ローカル5Gがあまり適していないケースは?

一方で、ローカル5Gがあまり適していないケースを挙げてみます。例えば、オフィス内の無線環境のように、ある程度の通信速度が出せれば問題ない場合は、Wi-Fiの方が安価で容易に展開できるので、ローカル5Gが適しているとは言いにくいと考えます。また、屋外のLIVE中継などで一時的な通信環境を用意する場合、ローカル5Gであれば免許申請にかかる期間や環境構築コストがネックになり、キャリア5Gや衛星通信サービスの方が適していると言えます。

おわりに

今回はローカル5Gの特徴と導入メリットについて説明しました。特に昨今では、無線システムの選択肢が増えてきたこともあり、どのような場合にローカル5Gを選ぶべきか悩まれている方がいるのではないでしょうか。そのような方が無線システムの導入を検討する際の一助になればと思います。

次回はローカル5Gの周波数割り当てについて書いていきたいと思います。

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