【ローカル5Gのキホン】第1回 ローカル5Gとは何か?

公開日:2023/12/22

第1回 ローカル5Gとは何か?初めての人にわかりやすく解説

はじめに

2019年にローカル5Gが制度化されてから数年が経過し、実証実験(PoC)が中心だった黎明期から、今後は本格的にビジネス活用される普及期へ徐々に移行していくと言われています。この連載コラムでは、改めてローカル5Gとはどのようなものか、初めての人にもわかりやすいように解説していきます。

ローカル5Gとは?

 
ローカル5Gとは、携帯キャリアではない一般企業や自治体などが主体となり、個別のニーズに合わせて構築・運用することが可能な自営用5Gネットワークです。一般企業や自治体は免許を申請し、周波数を利用者として割り当ててもらうことで、高速大容量・超低遅延・多数同時接続の3つの特長をもつ5G(第5世代移動通信システム)を専用のネットワークとして活用することができます。また、ローカル5Gは携帯キャリアが提供する5G(キャリア5G)と比較して、通信障害やネットワーク混雑の影響を受けにくく、個々の通信要件を満たすようカスタマイズした5Gが構築できるといった特長があります。 

ローカル5Gを3つの観点から見てみる


ここから先は、ローカル5Gをより理解するために、制度・周波数・技術の3つの観点から見てみます。

① 免許制度について
ローカル5Gをはじめとする電波の利用には基本的に無線局免許の取得がルールとされています。ただし、電波出力の低いWi-Fiのような無線システムは特例的に免許取得が免除され、電波出力の制約があるものの、手軽に利用できます。ローカル5Gの場合、プライベートなネットワークとして利用されることから、通常の無線局免許とは別に、ローカル5Gならではの利用ルールが個別に定められています。
ルールの詳細は「ローカル5G免許制度 押さえておくべき5つのポイント」で解説していますので、ぜひ一読してみてください。

② 周波数について
電波を媒体とする5Gのような無線通信においては、周波数の割り当てが重要になります。ローカル5Gでは、携帯通信キャリアが提供する5Gサービス用の周波数とは別にローカル5G専用の周波数が割り当てられています。そのため、キャリア5Gのように大衆ユーザーの影響を受けずに利用することができます。これが通信障害やネットワーク混雑の影響を受けにくいと言われる理由の1つです。

③ 技術について
ローカル5Gは特有の技術が存在しているわけではなく、携帯通信キャリアが提供するものと同じ5Gの技術が使われています。高速大容量・超低遅延・多数同時接続という3つの特長からわかる通り、これまでの無線アクセスシステムよりも進化したテクノロジーの活用が可能です。

なぜローカル5Gは注目されているのか?


ここまで説明してきたローカル5Gがなぜ注目されているのか、その理由を簡単に3点にまとめてみました。

理由① 5Gの技術メリットを得られる
5Gはこれまで利用されてきたWi-Fiなど既存の無線アクセス技術と比較して、通信速度・カバー範囲・通信遅延・セキュリティ・モビリティといった様々な観点で優位性をもつ新しい通信技術です。ローカル5Gでは、5Gがもたらす技術的なメリットを自分たちが主体となって得られるということがまず挙げられます。

理由② 携帯キャリアに依存しない
人口の少ない地域や僻地など、キャリア5Gがそもそも利用できない場合があります。また、キャリア5Gは大衆ユーザーに対する画一的な通信サービス提供を基本とするため、利用用途が多岐にわたる5Gにおいては、個々の通信要件を満たすことが難しい場合があります。さらには、キャリア設備の通信障害の影響を受ける可能性もあります。これらの懸念事項を許容できないユーザーは、ローカル5Gによって、携帯通信キャリアに依存しない形で5Gネットワークを利用できるということが言えます。

理由③ 周波数を専有できる
前述の通り、電波を媒体とする通信において、周波数リソースを共有するか専有するかが大きな違いになってきます。もし周波数リソースを共有する場合、他のユーザーの使用状況によって例えば通信速度や通信遅延などが劣化し、5Gの技術的なメリットが定常的には得られなくなる場合があります。周波数リソースを専有することで、安定して業務への5G活用を継続できるということが言えます。
 

現在の普及状況と今後の見通し

総務省の公開情報によると、令和5年8月31日時点でローカル5Gの免許を取得した事業者/団体等は148者となっています。制度開始からの数年は先行的な免許取得者によるシステム知見の蓄積や利活用の面での習熟に充てられてきており、今後はローカル5Gの特長を活かすことのできる事例を中心として、広く導入・活用が進むとみられています。

<参考情報>
現在の普及状況についてはAccuver株式会社の運営にて「全国ローカル5Gマップ」(https://5gmap.accuver.jp/)が公開されており、都道府県および市区町村単位でローカル5G免許取得の状況を見ることができます。また導入事例については、第5世代モバイル推進フォーラム(5GMF)にて「5G/ローカル5G事例マップ」(https://5gmf.jp/5gmap/)が公開されており、キーワード検索などもできるようになっています。ローカル5Gの情報収集の際はぜひ参照してみてください。

おわりに

今回はローカル5Gとは何か?について概要を簡単に解説しました。大まかなイメージが湧いてきたのではないかと思います。次回はローカル5Gの特徴とメリットについて解説していきたいと思います。

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