話題の5Gとは?

 
2020/01/22

 

 

R&D部 研究開発室

はじめに

5Gは、韓国やアメリカではすでに商用サービスが開始されており新たな時代の到来を象徴するテクノロジーとして注目を集めています。 2020年夏、世界中の人が東京を訪れるビッグイベントを控え、国内でも5Gの商用化を一斉に目指すことが発表され話題となりました。

MKIでは、5Gの国内サービス開始に備え、5G関連の技術調査を行い活用に向けて取り組んでいます。今回のMKIナレッジでは、5Gの基本的な特徴と今後期待される役割・活用事例や、自営の無線として局所的に利用できるローカル5Gについてお話しします。

5Gとは?

5Gは第五世代移動通信システムの略称で、携帯電話などの通信に用いられる次世代通信規格のひとつです。一般的に5Gは、全国規模で通信キャリアが提供する5Gネットワークサービスを指します。
5Gの「G」は「Generation」の頭文字をとったものであり、5世代目であることを表しています。
携帯電話の歴史を紐解いていくと10年程度のスパンで新世代の通信規格が登場しています。

 

モバイルネットワークの歴史■モバイルネットワークの歴史

 

2015年9月に国際電気通信連合(ITU:International Telecommunication Union)の無線通信部門(ITU-R:ITU Radiocommunication Sector)により5Gの性能要求が出され、その後、進捗管理等を行うプロジェクトコーディネーショングループ(PCG:Project Co-ordination Group)の配下にある3GPP(3rd Generation Partnership Project:通信方式の仕様を標準化するプロジェクト)が定めたRelease15以降の通信規格に準拠したものが5Gと定義されます。

5Gの特徴

5Gの特徴は大きく分けて3つあります。

・高速大容量 (eMBB:enhanced Mobile Broadband)

現在の第4世代移動通信システム(4G)より100倍速いブロードバンドサービスの提供が可能
最高伝送速度は20Gbps(現行LTEの100倍)

・超高信頼低遅延通信 (URLLC:Ultra-Reliable and Low Latency Communications)

利用者が遅延(タイムラグ)を意識することなく、リアルタイムに遠隔地のロボット等を操作・制御が可能
通信ネットワークにおける遅延、即ちタイムラグを極めて小さく抑えられる
1ms程度の遅延(現行LTEの1/10)

・超大量端末接続 (mMTC:massive Machine Type Communication)

スマホ、PCをはじめ、身の回りのあらゆる機器がネットに接続可能
基地局1台から同時に接続できる端末を従来に比べて飛躍的に増やせる
100万台/㎢を接続可能(現行LTEの100倍)

 

■5Gの特徴

5Gの活用シーン

・遠隔操縦

5Gの高速・大容量・低遅延のネットワークを使えば、遠隔操縦が可能になります。技術者がロボットを遠隔操作して建築現場での作業や工場での作業をこなしたり、医師が遠隔地にあるロボットを操作して手術をしたりすることが可能になると期待されています。

・大規模集客施設

4Gに比べ約10倍の同時接続が可能となります。これにより数万人規模の人が集まるイベント会場やスタジアムでも、スマートフォンが繋がりにくくなるケースが“ゼロ”に近くなることが期待されています。

・自動運転

自動運転など、スマートカーの技術も、5Gの導入によりさらなる強化が期待されています。
センサーで集めた交通状況の情報を複数の車両がリアルタイムに共有することで、より効率的な走行が可能になると考えられるからです。車両間の超低遅延通信を通じて、少し先を走る自動車から周辺状況を得られれば、早めに減速したり、適切な車線に変更したりすることで、危険を回避できます。

・VR(バーチャルリアリティー、仮想現実)

5GによってVR(バーチャルリアリティー、仮想現実)の臨場感が飛躍的に高まり、観光地や、住宅など高級商材の疑似体験がより活発で有効に活用できるようになると期待されています。

ローカル5G

ローカル5Gは、大手通信事業者ではない一般企業や自治体などが主体となって個別のニーズに応じて構築する局所的な5Gネットワークです。企業や自治体が限られたエリアで周波数の割当を受け、5Gを自営無線として利用できます。通信事業者のサービスと比較して、他の場所の通信障害や災害、ネットワークの輻輳などの影響を受けにくくなります。
ローカル5Gが利用できる周波数として、携帯電話事業者4社への割当が決まった3.7/4.5GHz帯と28GHz帯の5G用帯域のうち、4.5GHz帯の200MHz幅(4.6-4.8GHz)と28GHz帯の900MHz幅(28.2-29.1GHz)が計画されています。また、今後先行して使えるのは、これらの帯域の中で衛星通信業務などとの共用検討が終わっている28.2-28.3GHzの100MHz幅になります。

・ローカル5Gをどのように活用できるのか?

現時点で想定している代表的なユースケースは、「工場の製造ラインのワイヤレス化」「建設機械の遠隔制御」「AR(拡張現実)/VR(仮想現実)による観光支援」など、キャリア5Gで考えられているユースケースを限られたエリア内でサービスとして提供するものとなり、ローカル5Gならではの用途を見いだせていないのが現状です。
現行の4G技術に基づくプライベートLTE(Long Term Evolution)や、Wi-Fi(無線LAN)でも対応可能なシーンは数多くあり、適切に方式を選択する必要があります。

・ローカル5Gの活用メリット

ローカル5Gは公衆網と隔離された独立したネットワークであるため、「高いセキュリティ」が担保でき、外部トラフィックによる影響も受けず「通信品質が安定」します。また「必要とされる期間に応じて柔軟にネットワークを構築できる」といったメリットがあります。

おわりに

5Gは、現在の4Gが使用する周波数帯や方式が異なる為、移行期間が発生します。従って、「高速大容量」、「高信頼低遅延送信」、「超大量端末接続」の全パフォーマンスをすぐに同時に使い始められるわけではありませんが、この3つの特徴が実現すると様々な新しいサービスが創出されると期待されています。


5Gサービスの開始を見据え、MKIは5Gを活用してどのような価値をお客様に提供できるのかを考えると共に、多くの実績があるWi-Fiを含めたワイヤレス技術全体に関して、これからも積極的に取り組んでいきたいと思います。

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