はじめに──「ナレッジでつなぐ、未来をつくる」その先へ
三井情報(MKI)では、オフショア開発の活用とグローバルマインドの醸成を重要なテーマとしています。今回、技術メンバー7名がベトナム・ハノイのIT企業、株式会社Rikkeisoft(RIKKEI)を訪問し、約2週間のワーケーションとAIハッカソンを通じて、人材交流を実現しました。この企画は、単なる業務出張ではなく、「文化と技術をつなぐ」挑戦。現地での偶発的な出会いが、未来を描き直すきっかけとなりました。
「海外で働くことを肌で感じたい」「異文化の中で自分の強みを試したい」──そんな思いを胸に参加したメンバーたち。ハノイでのワーケーションは、想像以上に刺激的なものでした。
ベトナムってどんな国?――異文化交流を深めるためのちょっとした雑学
異文化交流と聞くと「遠い世界」と感じるかもしれませんが、日本とベトナムには意外な共通点があります。
イベント好きな国民性
ハロウィン、クリスマス、お正月──宗教を問わず季節イベントを楽しむ文化が両国に根付いています。
言葉のルーツ
ベトナム語には「文化(Văn hóa)」「結婚(kết hôn)」「意見(ý kiến)」など、日本語と同じ漢字由来の語彙があり、日本語の音読み(呉音・漢音)に近い発音を持っています。
また、ベトナム語は固有の言葉を基盤に漢字文化を取り入れており、この点が大和言葉を基盤に漢字文化を取り入れた日本語と似た構造になっています。
勤勉さという共通点
日本人は「勤勉」とよく言われますが、ベトナム(特に北部)の人々も同様に真面目で勤勉だと評されます。今回のAIハッカソンで協業した際、彼らの集中力と責任感を肌で感じることができました。
フランス文化の影響
これは日本との共通点とは別のお話ですが、ベトナムは一時期フランス領だったため、コーヒー文化やバゲットを使ったサンドイッチ「bánh mì(バインミー)」が定着しています。街角のカフェで濃厚なベトナムコーヒーを楽しむのは現地ならではの体験です。
写真のセントジョセフ大聖堂は、フランス植民地時代の面影を残す象徴的な建築物で、現地文化と歴史を感じられるスポットです。
RIKKEIとの取組み
真剣勝負──AIハッカソンで見えた共創の力
MKIとRIKKEIの混成チームを2チーム編成して競ったAIハッカソンでは、限られた時間で社会課題や業務課題に挑むアイデアが生まれました。そこで生まれたアイデアの一部をご紹介します。
SecureQuiz Builder&Chatbot
社内規定について、社員教育の効率化と最新規定への対応を維持するため、AIがセキュリティクイズを自動生成し、Microsoft Teamsで配信します。また、チャットボット機能も兼ねているので、規定を積極的に確認したい方にも便利です。さらに、クイズの正答率やチャットボットへのよくある質問を分析し、次回のクイズに反映することで、PDCAサイクルをより効率的に回していきます。
献立提案アプリ『Nutri』
世界では成人の約43%が過体重であり、肥満者は10億人を超えています(2022年時点)。ベトナムでは、農村部で依然として一部の子どもに低栄養や発育の遅れが見られる一方、都市部では食生活の欧米化に伴い、肥満や糖質過多が増加しています。日本では若年女性に「やせ」が問題となる一方、中高年層では「肥満」が課題となっています。栄養不足や栄養バランスの偏りによる健康被害が社会問題化する中、AIがレシート情報や食材データを解析し、バランスの取れた献立を提案するアプリ「Nutri」を開発。「Nutri」を使うことで日常的な買い物データを活用し、無理なくこうした社会課題を改善できる仕組みを目指しました。
テーマ決定翌日にモックアップ、その後わずか4営業日でデモを完成させるなど、RIKKEIの技術力とスピード感を肌で感じることができました。スピードだけでなく、品質管理の仕組みも素晴らしく、案件ごとの品質をダッシュボードで可視化、AIを活用したコードレビューなどの仕組みが用意されており、「日本より厳格な管理体制に驚いた」「開発スピードに圧倒された」──そんな声が多く聞かれました。
業務外の異文化交流
ベトナムで流行中のスポーツ「Pickleball*」にチャレンジし、ベトナム流の乾杯(「1(モッ)・2(ハイ)・3(バー)!」のかけ声)を覚えて、私たちはどんどん打ち解けていきました。
*参考:ピックルボールは、アメリカで生まれたテニス・卓球・バドミントンの要素を組み合わせたようなラケットスポーツです。https://pickle-one.com/basic/pickleball/
未来をつくる、MKIのグローバル人材育成
出張報告から見えてきた共通のキーワードは、挑戦と変化です。
参加メンバーの声から見えた学び
• 「語学力がキャリアの幅を広げると実感」
• 「フォロワーシップの重要性を認識」
• 「簡潔に伝える力がコミュニケーションを変える」
• 「異なる価値観に触れることで、自分の強みを主体的に作る必要性を感じた」
• 「同年代のエンジニアが高い技術力と語学力を活かして活躍する姿に刺激を受け、自分ももっと学ばなければと思った。」
• 「文化の違いがあっても、真摯に仕事に向き合えばプロジェクトは遂行できる──この気づきは国内業務にも活かせる。」
ブリッジSEがいるとはいえ、直接対話ができるのは大きな武器になります。また、相手に誤解なく仕様を伝えるための簡潔な表現が重要になるなど、母語である日本語にも気を遣うべきだという気づきもありました。
同じ日本人同士、同じ会社の社員であっても所属部署が異なると仕事の進め方や考え方に大きな違いがあり、意思統一に苦労したという経験もありました。
今回のベトナム交流企画は、MKIのパーパス「ナレッジでつなぐ、未来をつくる」を体現するものです。
異文化の中での挑戦を通じて、社員一人ひとりが視野を広げ、技術力と人間力を磨く──それが、MKIのグローバル人材育成の在り方です。
MKIは、今後も異文化共創と価値創造に挑戦していきます。
土川
金融第二技術部 第一技術室
2002年に前身である三井情報開発株式会社に入社。
20年ほど不動産関連の部署でインフラからアプリ、クライアントPC管理まで幅広い案件を対応。
2024年10月より現在の部署に異動し、インフラ案件のPMやプリセールスエンジニアとして活動。
今回、自分の可能性を広げるためベトナム交流企画に立候補。
三井情報グループは、三井情報グループと社会が共に持続的に成⻑するために、優先的に取り組む重要課題をマテリアリティとして特定します。本取組は、4つのマテリアリティの中でも特に「ナレッジで豊かな明日(us&earth)をつくる」「多様な人材が活躍できる『場』をつくる」の実現に資する活動です。
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