はじめに
こんにちは。今回のコラムは大阪から発信しています!
私はMKIの西日本技術部に所属しています。東京本社で十数年の勤務後、約五年前に当部に異動しました。西日本技術部は主に関西・九州・中四国・沖縄・名古屋・北陸エリアを担当しています。
同じITシステムの提案・導入であっても、東京と当部担当エリアでは、時間もステップもお客様との距離感も様々な点で異なります。
特に私が携わるコンタクトセンターシステム業務では、当部担当エリアの場合、「中小規模」「老舗」「通販」の企業の割合が多いと感じます。このような企業は経営母体の大きい大手/外資系企業と比較すると、やや長い時間を掛けてでも、IT投資に対する投資効果の精査を重視する傾向が強いです。
クラウド化の波及とオムニチャネル対応

Omnichannel(オムニチャネル):
電話、メール等の様々な手段(チャネル)を連携させて利用者にアプローチすること
当部担当エリアにおいても、従来のオンプレミスからクラウドへのシフトは急速に進みつつあります。
コンタクトセンターシステムも、低価格のクラウドサービスが次々と市場に登場してきました。少ない課金で柔軟な席数増減や契約解除が可能なクラウドサービスは、エリアの中小規模コンタクトセンターに、よりマッチしていると感じています。
さらに、クラウドへのシフトと呼応するかのように、各企業コンタクトセンターでの電話以外のオムニチャネル対応、の話題も多く聞くようになってきました。
コンタクトセンターのオムニチャネル対応は、私がMKIに入社した約二十年前から謳われていました。然しながら、従来から技術的にはある程度確立し、メーカーから対応製品もリリースされていたにも関わらず、日本のコンタクトセンターでのオムニチャネル対応は近年まであまり発展してきませんでした。
これには様々な要因がありますが、一つには、利用者側の背景があげられます。
コンタクトセンターの運営者側は電話以外のオムニチャネル対応に興味がある一方で、利用者側の設備環境や社会背景はまだ追いついていませんでした。
ところが近年になって、スマートフォンの普及がモバイルでのIT利用環境を確立し、LINEアプリの登場が日本の社会にチャット文化を浸透させました。
結果的に、利用者側の需要が遅れて発生し、コンタクトセンター側のオムニチャネル対応へのスタンスが、従来の興味から必要性に発展したのだと考えられます。
コンタクトセンターでのLINE利用

チャット文化確立の要因となったLINEアプリは、通話料金が無料な事と利便性が大きな魅力です。実際、LINEアプリの利用率は全スマートフォンアプリの中で最も高く、実質的にほぼスマートフォンの標準機能になっています。
そのLINEアプリですが、日々更なる進化を遂げています。近年は突出した利用率を武器に、企業のマーケティング用ビジネスツールとしても活用されています。皆様ご存じの公式アカウントやスタンプだけでなく、LINEビジネスコネクトやLINE@といった企業メッセージ配信機能も順次追加されています。
更にコンタクトセンタービジネスにおいても、「企業コンタクトセンターとLINEアプリの連携」が本年に入り急速に注目を集めつつあります。そこでコンタクトセンター向けの主なLINEサービスと効果をご紹介します。
チャット対応

LINEアプリから公式アカウントに、チャットメッセージで問合せが可能です。
一般利用者視点では、待ち時間減少や営業時間外対応等のCS(顧客満足度)向上が効果として見込まれます。
企業視点では、定型的な問合せはAIチャットボットが自動回答する事で、コンタクトセンターの人件費/通話料金の削減が見込まれます。
また、電話入電も自動応答装置(IVR)にて公式アカウントでのLINEチャットへ誘導することで、企業側で接続チャネルを電話からチャットへ調整することが可能となります。
無料電話対応

LINEアプリから公式アカウントへLINE無料電話で問合せが可能です。
一般利用者視点では、チャット問合せからのシームレスな電話問合せによるCS向上が効果として見込まれます。
企業視点では、コンタクトセンターの命題であるフリーダイヤル料金負担の軽減が図れます。
加えてLINE無料電話利用の結果、公式アカウントが利用者側のLINEにお友達として登録される為、企業側は一般利用者との導線を確保できます。結果的に企業側は一般利用者へ公式アカウントを通じて多角的なプロモーションを行うことまで可能となります。これはコストセンターと称されがちなコンタクトセンターが、間接的にプロフィットセンターとしての効果を生み出すきっかけとなりえます。
MKIは長年培ったコンタクトセンターのノウハウを生かし、単なるチャット機能の提供ではなく、LINEチャットとLINE無料電話からなる、「異なるチャネルの融合」によるコンタクトセンターへの付加価値提供に取り組んでいます。
特に当部担当エリアに多い「中小規模」「老舗」「通販」の企業のニーズに応えるべく、当部も企業の新たな顧客獲得/お客様支援の選択肢としてコンタクトセンターでのLINE活用に注力しています。
未来のコンタクトセンターへのターニングポイント

前述のとおり、コンタクトセンターのオムニチャネル対応は二十年以上前から元々提供されていた機能ですが、チャット対応センターは近年になって急速に増加しています。これはIT活用がシステム機能だけでなく、社会背景・需要に大きく左右されるが為です。
スマートフォンとLINEの登場がオムニチャネルの需要を現実化し、従来の所謂コールセンターから本当のコンタクトセンターへ遷移し始めたのを実感しています。後日に振り返ると本年がコンタクトセンターのターニングポイントの年と言われるかもしれません。
但し、コンタクトセンターのオムニチャネル対応は単なる通過点に過ぎないとも感じています。一般利用者と企業の接点であるコンタクトセンターは、このターニングポイント以降も急速に変化していくはずです。
なぜならば、直近では働き方改革、中期ではES(従業員満足度)向上、長期では労働者人口減少の社会背景が見えている為です。
今後、これらの自動化技術発展により、人間のように柔軟性と感受性を持った本当のロボットオペレータが実現すると、物理的なオペレータ席や電話機は無くなり、全てクラウド自動サービスにシフトするのかもしれません。それは夢でも未来でもなく、コンタクトセンターのほんの少し先の将来像だとも感じています。

「コンタクトセンター、ごっつおもろなるで~!」

青木 純二
西日本技術部 第一技術室
現在、コンタクトセンター向けセールスエンジニア/アカウントマネージャ業務に従事
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