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「MIALK神谷町」体験レポート ~実証実験を終えて~

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三井情報(MKI)は、本社ビルがある東京都港区・神谷町エリアの活性化に向け、森トラスト株式会社様(以下、森トラスト)と共同でスマホアプリ「MIALK(ミアルク)」による実証実験「MIALK神谷町」を2024年1月22日(月)~2024年4月30日(火)の約3か月間行いました。今回のコラムは、本取組みの体験レポートをご紹介します。

MIALK(ミアルク)~地域エンゲージメントソリューション~
三井情報、森トラストと地域活性化を促すスマホアプリ 「MIALK 神谷町」を活用した実証実験を開始 | 2024/01/22

実証実験開始までの長い道のり

「都心のど真ん中を舞台」に、三井情報にとっても新しいチャレンジとなった今回の実証実験。そもそもどのような経緯で始まったのかをまずはご紹介いたします。森トラストは、2018年に神谷町エリアにおいて「神谷町God Valley協議会」を設立し、エリアゆかりの29の企業・団体とともに街づくり活動を行っています。三井情報はこの協議会に加盟しているご縁から、エリアデベロッパーである森トラストと共同で神谷町エリア活性化の実証実験を起案、2022年11月から交渉を開始しました。実際に実証実験を開始するまでに、以下の調整、対応が必要でした。

1. 既存LINEアカウントとのすみわけ
既に森トラストグループがLINEアカウントを使って神谷町エリアの情報発信を行っていたこともあり、情報一元化として「MIALK」はLINEとの連携を前提に、LINE登録者のみインストールできる限定公開アプリとして扱うことで同意。

2. 契約準備
森トラストとの実証実験に関わる契約書のみならず、MIALK利用規約、個人情報の取扱いに関する覚書等、実証実験といえども、「都心のど真ん中」での不特定多数の一般ユーザ及びエリアの店舗を巻き込んでの取組みであることを意識して、じっくりと慎重に準備。

3. 参画店舗開拓
実証実験への参画店舗開拓のため、神谷町エリアの店舗を1件1件訪ねての趣旨説明と参画要請を実施。熱意も実り、多くの快諾をいただいて、約20店舗の参加が決定!

商標こぼれ話
「MIALK」の商標は、「三井のMI」と「見(MI)て歩く(WALK)」の造語です。アプリ開発着手当初(2022年5月)は、別名の予定でしたが、商標登録調査で、類似性の高い商標申請があることが判明したため、大慌てで改称し、「MIALK」が誕生したのでした(2023年9月に商標登録完了)。諸々の手配・調査不足で名称切替えには時間を要しましたが、いまでは「MIALK」がブランドとして利用者に少しずつ浸透しているのではないかと感じています。

「MIALK神谷町」の機能

今回の実証実験では、以下の「MIALK」標準機能を利用してもらいました。

1. 街歩き×チェックイン機能
アプリ内の地図上に神谷町エリア内の観光施設や文化施設などが掲載。各施設に訪れアプリでチェックインすることで、ポイントを獲得できる。

2. 街歩き×ヘルスケア機能
1週間の歩数に応じてポイントが付与される。

3. 街歩き×店舗紹介機能
実証実験に参画している店舗が地図上に表示。獲得したポイントは店舗のクーポンと交換できる。

4. 街歩き×投稿機能
街を巡りながら画像やコメントを地図上に投稿し、ユーザ同士で情報交換やコミュニケーションを取ることができる。

いよいよ実証実験開始!

そして交渉開始から足掛け2年!2024年1月22日のニュースリリースと同時に「MIALK神谷町」の実証実験がスタートしました。
500名の登録ユーザ数を目標に社内外へ宣伝活動を実施。本当に登録してくれるだろうか?と不安を抱えながらアプリ管理画面を起動しては、登録ユーザ数に一喜一憂する日々をしばらく過ごすことになりました。

そんな不安はある意味的中し、リリース後2週間を過ぎた時点で登録ユーザ数に変化が見られなくなりました。そのため、森トラストと緊急対策協議を開催し、まずは機能面における優先度の高い改善対応とLINEのリッチメニューを活用した「MIALK神谷町」の案内を継続的に表示する対応を図りました。更に、神谷町駅から森トラスト本社が入居する東京ワールドゲート 神谷町トラストタワーへ通じる通路のデジタルサイネージ3ヶ所へ「MIALK神谷町」の案内掲示を実施しました。

機能面の改修対応には、再度アプリの審査を通す必要があり(これがドキドキなのです)、結果的に実証実験終了まで1ヶ月を切った2024年4月1日にアプリ更新版のリリース実施となりました。リリースに合わせ、利用ユーザへのプッシュ通知を実施したところ、その効果でアプリ起動数は増加。また、LINEのリッチメニューでの継続的な案内表示の効果もあり、最終的に約300名の登録ユーザ獲得に至りました。

【参考】アプリログイン数の推移(プッシュ通知の発信に伴い、ログイン回数が増加)

実証実験を終えて

2024年4月30日(火)をもって、「MIALK神谷町」の実証実験は予定通り終了しました。
目標には届かなかったものの、実証実験開始時のLINE登録ユーザ3,000名のうち、10%のユーザに「MIALK神谷町」のダウンロードと、何等かの操作を行っていただきました。我々には見えない一般ユーザの方々にアプリを操作いただいたこと、そしてなんと全拠点チェックインを達成した利用者も複数名おり、実証実験へご協力をいただけたことに対して感謝の念に堪えません。また、実証実験期間中にやむなく実施したアプリ更新も支障なく対応できたことは、感慨もひとしおで、よく頑張ったと思えたのでした(自画自賛で恐縮です)。

以下、振り返りとして整理してみました。

●企画

  • 利用者の80%以上が拠点チェックインを行っており、街の回遊・地域活性化ツールとして一定の効果をもたらした。
  • SNSへの活発なユーザ投稿を期待したが、かなり遠慮気味な利用に留まった点は残念。
  • クーポン発行店舗が限定的であったことから、店舗応援という観点では、もう一歩踏み込んだ価値提供施策が必要であった。

●アプリ機能

  • 全体的に直感的な操作がやや難しかった印象を与えた点は、今後の改善策としてのエビデンスが入手できたと考えられる。
  • 期間中のアプリアップデートが特段支障なく提供できたことは今後の安心材料となった。

●運営

  • 積極的なプロモーションをかけずに数百名のユーザ獲得に至った点は評価できるが、ユーザ獲得目標数に届かなかったことは反省点。
  • ユーザの利用促進のために、事業者側からのお知らせ発信やプッシュ通知機能をもっと効果的に利用すべきだった。
  • 実証実験中の問い合わせは1件のみとなり、当該アプリや実証実験に対する誹謗中傷もなく、穏やかに終えることができた。

●利用者アンケート結果

今回の実証実験に対する評価は半々。「神谷町の街に欲しい、または街の活性化につながるアプリ」という質問に対する回答で、「街のイベント情報の充実など、日々開いて確認したくなるコンテンツ」という意見があり、そこにまだまだ到達していない点は、貴重な意見として今後の改善に必ず役立てていきたいと決意

【参考】アンケート結果より集計

「MIALK神谷町」の利用対象者と想定する神谷町界隈の勤労者の年齢構成が判明
(国の統計の年齢別労働者割合と同等)

東京以外からの通勤者が多い。また神奈川からの通勤者が突出しており、東急東横線もしくは同線沿線の通勤者が多い模様。

最後に ~スピンオフ企画も実施~

今回の実証実験中、スピンオフ企画として「XR体験会」を関係者内で実施しました。
体験会の内容は以下、三井情報の公式noteの記事よりご覧いただければと思います。

XR体験会は「MIALK神谷町」の実証実験の場を間借りし、リアルとバーチャルの融合による街の活性化に向けた取り組みの一環として実施したものです。このように、今回の「MIALK神谷町」をきっかけに様々な取り組みの機会や可能性を提供ができることも成果として評価できるものと感じています。今後の様々なチャレンジに向けて一石を投じる機会となったのであれば本望です。

ここまで、お付き合いをいただきましてありがとうございました。「MIALK」が近い将来正式に街歩きスマホアプリとして浸透されていることを夢見ながら筆を置かせていただきます。MIALKを使った地域活性化への取組みにご興味がある方がいらっしゃいましたら、ぜひ三井情報までご相談いただければと思います。どうぞお気軽にお問合せ下さい。

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執筆者

小野寺
金融第一営業部 第二営業室

2016年に金融営業本部に着任以降、メンバーと共にグローバル視点での金融×テクノロジー、いわゆるFinTech(フィンテック)領域における新規商材発掘・新規ビジネス組成をリード。
その後、2023年に自社開発の地域エンゲージメントソリューション「MIALK」を担当。自治体、地域金融機関、デベロッパー等に向け地域の活性化に資する取組み・営業活動を推進中。

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