社会の風潮、企業のICT
この数年、「シェアリングサービス」という名前を耳にする機会が増えてきました。有名なものではカーシェアやシェアハウスが、他にもリゾート施設を共有するタイムシェア、ブランド品のシェアリングなど、非常に多くのサービスが提供されています。MKI本社の近くでも自転車のシェアリングサービスが提供されており、多くの方が利用されているのを目の当たりにし、シェアリングサービスが非常に身近なサービスとして普及してきていることを実感します。
このように、近年では日々の生活に於いて「資産を持たず、必要なときに必要な分だけ利用する」風潮が高まっていますが、企業活動に於いても同様に「シェアリングサービス」の利用が進んでいます。
「クラウドサービス」はその代表的な例で、Amazon(Amazon Web Services, Inc.)やMicrosoftなど名立たる企業がサービスを提供しており、総務省の調査によると平成29年の企業に於けるクラウドサービスの利用状況は56.9%と過半数を超える状況となっています。
(出典)総務省「通信利用動向調査」
http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/statistics/statistics05.html

不動産業界 × IT
以前、『不動産業界×IT「不動産テック」とは!?』で、不動産業界を支えるIT技術(不動産テック)の事例についてご紹介しました。この不動産テックに於いても、「資産を持たず、必要なときに必要な分だけ利用する」流れが進んでいます。例えば、前出のクラウドサービスの利用は勿論のこと、ビッグデータを利用して環境や経済に最適な街づくりを実現する、といった取り組みも進んでいます。過去に蓄積された膨大な情報から必要な情報を採取・解析して利用するビッグデータの活用では「シェアリング」が非常に有効です。
また、不動産業界からも「シェアリングサービス」が提供されています。当社でも利用している「シェアオフィス」サービスなどはその一例で、主要エリアに設置された共有オフィスを10分単位で利用することができ、テレワークによる働き方改革推進の重要な役割を担っています。
『不動産業界×IT「不動産テック」とは!?』
/knowledge/column24.html

ICTサービスは所有から利用が一般的に
企業のICT分野において、「資産の所有」から「サービスの利用」に変化している理由として、シェアリングサービスの以下のメリットが挙げられます。
- 導入期間の短縮
企業がシステムを導入する場合、従来は機器の手配、設計、構築などの工程があり、システムの利用開始までに数ヶ月(長い場合は数年!)の期間を要していました。 シェアリングサービスでは、契約を締結すればすぐに利用が開始できるものが多く、利用開始までの期間が大幅に短縮できます。
- 初期導入費用が安価
従来のシステム導入の場合、機器の費用、導入にかかる人件費、設置場所の管理費用など多くの初期導入費用が必要でした。シェアリングサービスでは、サービス提供者が用意した基盤でサービスが供給されるため、初期導入費用を安価に抑制することができます。
- 管理負荷の軽減
シェアリングサービスでは、サービスの提供者がシステムの管理を行うため、システム管理者によるシステムの維持・管理や、情報システムに関する有識者の確保などを行う必要がなくなります。これによりシステムの管理負荷が大幅に軽減されます。
- 柔軟な拡張性
多くのシェアリングサービスでは、利用するサービスのリソースをWeb上に用意された管理画面などから柔軟に変更することが可能です。例えばオンラインストレージのサービスであれば、必要なときに必要な量のストレージやアカウントの割当てができるようになっています。従来のように、数年後の利用を見越して過剰な構成で先行投資をしたり、都度の機器増設をしたりすることなく、より早く、より簡単に利用サイズを変更できます。
このようなメリットから、ICTサービスは今後も「所有」から「利用」に転換する傾向であり、将来は「利用」が一般的になっていくことが想像されます。

MKIの取り組み
MKIでは、「所有」から「利用」に向けた環境の構築、転換促進の支援を行っています。
- 最適なクラウドサービスの選択、クラウドサービスへの移行
多様なクラウドサービスについて、お客様の業務形態、システム構成を踏まえた最適なクラウドサービスを選定し、安全かつ影響の少ない移行をご提案、ご提供しています。
- クラウドサービス利用のための構成デザイン
オンプレミス(物理機器の管理・運用)とクラウドサービスの共存のほか、多様なクラウドサービスを共用するなどのハイブリッドクラウド構成における最適なネットワーク環境とシステム構成をデザインいたします。
- クラウドサービス利用のための認証機能の統合
クラウドサービスごとに設定されている認証情報を統合管理し、一つの認証で複数のクラウドサービスにアクセス可能とすることで、煩雑なパスワード管理、認証の手間を軽減する機能をご提供しています。
- セキュリティを考慮した2要素認証
クラウドサービスを利用可能とするデバイス(パソコン、スマートフォンなど)を限定した上で、アカウント認証を可能とする(2要素認証)ことで、私物端末によるクラウドサービス利用や外部からの不正アクセスを排除し、セキュリティレベルを向上させる機能をご提供しています。
最後に
いかがでしたでしょうか。
今回は企業のICT分野において、「資産の所有」から「サービスの利用」へと転換が進んでいる旨をご説明しました。技術革新とともにサービスも日進月歩しており、新たなサービスは企業の成長にも大きく寄与しています。
このような時代背景に合わせて、MKIではお客様や社会の課題をICTで解決し、さらに新たなビジネスを共に創っていきます。
最後までご清覧いただきありがとうございました。

張替、竹中、澤田、三笠、岩井、白井(共著)
不動産技術部 第二技術室
現在、Windows10や各種インフラサービスの導入、運用に従事
コラム本文内に記載されている社名・商品名は、各社の商標または登録商標です。 本文および図表中では商標マークは明記していない場合があります。 当社の公式な発表・見解の発信は、当社ウェブサイト、プレスリリースなどで行っており、当社又は当社社員が本コラムで発信する情報は必ずしも当社の公式発表及び見解を表すものではありません。 また、本コラムのすべての内容は作成日時点でのものであり、予告なく変更される場合があります。