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働く人の変化をサポート

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30年前に描かれた広告戦略

『アド・バード』という小説をご存知でしょうか?
作家の椎名 誠さんによるSF小説で、約30年前に書かれたものです。

先行きの見えない荒廃した世界の中で、改造生物を使った広告戦争が繰り広げられている。
広告用の改造鳥アド・バードがことばを話し、編隊を組んだ鳥文字を作って空を跋扈している。

実用化に向かいつつある現在のIT技術を組み合わせれば、何かのきっかけでこのような近未来ができあがってしまうのではないか、そんな妄想を抱きました。

なぜ働き方改革?

広告に限らず、スマホ決済、車の自動運転、バーチャルリアリティなど、私たちの生活は徐々にですが、確実に多くの領域でITの影響を受けて常に変化しています。これら今の当り前のほとんどが10年前には予測もむずかしかったものではないでしょうか?

一方、企業の活動で昨今よく聞かれる働き方改革。
フリーアドレスやテレワークのように日常に関わるものから、勤務体系や業務プロセスの見直しなど制度、仕組みを見直すものまで、幅広い取り組みがあります。そしてご存知のとおり、これらの多くもITの力を直接的、間接的に活用するものです。

個々の取り組みの背景や理由は様々ですが、根底にある大きな要因の一つは労働力不足、社会全体の避けられない流れです。労働力の確保が従来のやり方では安定的にできなくなっている。
そのような視点で眺めたとき、みなさんが働く職場では何か変化が起きているでしょうか?

お客様の変化の兆し

私たちはITを通じてお客様に様々なサービスを提供する立場にありますが、お客様の中に近年変化が起きていることをダイレクトに感じています。

多くのお客様は、場所や時間の制約をITの力によって解決することに取り組まれています。
TV会議システムやスマートフォン、コミュニケーションツールの導入…同時に働く場所や勤務時間など会社の働く環境や制度の整備が進められています。目指すところは、現有人的リソースを最大限有効に活用すること。個々と組織の生産性向上、互助的な仕組みを作ることです。

そして私たちに対しても、働き方を変えるためのサービスを求められるようになってきました。
例えば、ITツールの導入研修に携わる機会が多くありますが、従来はツールの操作方法を主としたものでした。しかし最近は働き方改革の流れを受け、ツールによりどのように働き方を変えるか、を前面に出す研修へと変わってきています。

お客様自身が働き方を見直し、業務シーンに合わせてツールを活用し、使いこなす。
私たちは一見の研修だけではなく、以降の働き方を変える過程も含めて支援することを期待されるようになってきています。

私たちも変化する主体に

そうした期待に応えるためには、お客様の働き方改革の意図を理解し、お客様の業務シーンを想像し、具体的な変化のポイントとそのメリットを説得力をもって伝えなくてはいけません。

このように私たちに求められるサービスの質的な変化を体感しつつ、私たち自身の働き方も変えることに取り組んでいます。
例えば、サービスデスクの問い合わせ受付時間の短縮を実施しました。一見、お客様の満足度を下げる対応に思われるかもしれませんが、時間帯毎の問合せ頻度を分析した上での対応です。
一方、問い合わせが多いものの傾向分析を行い、チャットボット化を進めています。お客様の業務イベントなど問い合わせの急増が予想される場合、お客様を待たせず対応する手段として活用を始めました。

今までのお客様の満足度を単純に落とさないだけでなく、お客様にも変化による好影響を与えられるような取組みができないか。
私たちも限られた人的リソースの有効活用に止まらない、新たな働き方を模索しています。

これからはITサービスも顧客体験型に

お客様の働き方が変わり、私たちITサービスを提供する側の働き方も変わる。その先にはどのようなITサービスが望まれるのでしょうか?

お客様の業務の中で、ITサービスは限定的、定型的なものから、IT技術自身の進化、幅の広がりと重なり、業務全般に組み込まれる流れが加速しています。
お客様がやりたいこと、実現したいことの多くにITの活用が当たり前となった。その意味で、お客様はITサービスの利用を通じた体感、体験の全体から、サービスの良し悪しを感じるようになるでしょう。

継続は思わぬ変化なり

私たちは今、ITサービスを通じてお客様の働き方を支援する専門チームを立ち上げる準備をしています。
お客様の業務を理解し、ITツールの特性を活かし、お客様がやりたいことを心地よく実現する。突き詰めると、新たな働き方をデザインする力が求められます。
また、ITツールの新たな利用はどうしてもお客様の心理的なハードルが上がりますが、これを抑える工夫も重要です。
自らの働き方を見直し、お客様にも変化を促す。
キーワードは場所と時間です。
このような思いの下いったい何ができるのか?いずれにしても、一朝一夕に変化は現れません。試行錯誤ながら、働き方を変える取組みを継続するとき、思わぬ変化が現れ、それが将来当たり前となっているかもしれません。

30年後…働く人たちはパソコンでもなく、ウェアラブル端末でもなく、ITバードを相棒に毎日働いている。こんな話も絶対にないとは言えません。

執筆者

大槻 正樹

フロント技術グループ ICTコア技術本部 三井不動産ITM部

サービスデスクを始め、顧客IT関連業務の全般に関わるサービスの提供・運営業務に従事

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