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カンファレンス・セミナーイベントのAI Transformation(AX)で変わる「体験」と「運営」

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目次

はじめに

近年、AI技術の進化により、さまざまな業界で「AI Transformation(以下、AX)」が注目されています。AXとは、業務や体験をAIで再構築する取り組みを指します。カンファレンス・セミナーイベント(以下、イベント)においてもこの潮流が進んでおり、企画・運営・参加体験においてAI活用が急速に広がっています。
たとえば、参加者の興味関心を分析しておすすめのセッションを提示するAIや、来場データをもとに混雑を緩和するAI、さらには登壇内容を要約して配信するAIなど、活用領域は多岐にわたります。

AIの導入は単なる業務効率化に留まらず、「イベントそのものの在り方」を再定義する段階に入っています。
AIが裏側で稼働することで、参加者は“より自分に最適な体験”を、主催者は“データに基づく運営判断”を実現できるようになっています。これこそが、イベント領域におけるAXの本質です。

現状のイベント業務

一方で、現場のイベント運営には依然として多くの課題があります。
 •    複雑化する運営体制:会場・配信・ハイブリッドなど形式の多様化に伴い、複数ツール・ベンダーの調整が増加。
 •    人手に依存する工程:受付、集客、通訳、サポートなど、属人的な作業が多い。 
 •    参加者体験のばらつき:言語・環境・参加形態の違いで体験品質に差が出やすい。

こうした中で、AIを活用したイベントの自動化・効率化は、運営の負荷を減らすだけでなく、データを活用した改善サイクルを回せる点に大きな価値があります。
特に、音声やテキストといった非構造データをどう扱うかが、今後のイベント業務変革の鍵となっています。

イベントにおけるグローバルコミュニケーション

イベントが国境を越えて行われる時代、もうひとつの重要テーマが「グローバルコミュニケーション」です。

新型コロナウイルスの流行収束後には、リアルイベントの開催頻度が増加し、登壇者・参加者も多国籍化する中で、言語・文化の違いがコミュニケーションの障壁になりやすく、イベント体験を左右します。AIはここでも重要な役割を果たし始めています。これまでは人手による通訳で対応をしてきましたが、翻訳言語が複数に渡ると対応が難しくなり、通訳人材の調整および運営面で課題とされてきました。
しかしながら、AI翻訳の技術が進化したことで、多言語の壁を超えて発表や質疑応答を共有できるようになりました。単に参加者の理解を助けるだけではなく、誰もが同じ情報を同じタイミングで受け取れる、そんな公平な体験を支える基盤になっています。

このように、AI翻訳によるイベントのグローバル対応は、アクセシビリティとエンゲージメントの両立を支える新しいコミュニケーションの形と言えるのではないでしょうか。

カンファレンス・セミナーイベントにおける従来の通訳:通訳者を手配する必要があり、翻訳言語が限られてしまう。

三井情報の取り組み

当社では、AXの考え方をイベント運営にも取り入れ、AIを活用した体験設計や運営支援の高度化を進めています。その取り組みのひとつが、多言語コミュニケーション支援です。

三井情報は2022年より国内企業向けにリアルタイムAI翻訳プラットフォーム「Wordly(ワードリー)」を提供開始し、グローバルカンファレンスや展示会などで、登壇者の発言をリアルタイムに翻訳し、国内外の参加者が同じ内容を瞬時に共有できる環境を整備しています。これにより、誰もが参加しやすいインクルーシブなイベント運営が可能になります。
Wordlyは、通訳者の手配など事前準備の負担やコストを大幅に削減できるだけでなく、参加者が自分の母国語で内容を理解できる「多言語同時翻訳」機能が高く評価されています。

Wordlyの特長
 •   イベント現場での多言語対応:展示会やカンファレンスでの多言語対応を一括管理
 •   柔軟な運用:フロアやブース単位でのセッション管理、ゲスト招待、スクリーン表示最適化に対応
 •   高精度な翻訳:ビジネス一般から専門分野まで高い音声認識・翻訳精度を実現

詳細はWordly製品ページをご覧ください。Wordlyの導入なら | 三井情報(MKI)

Wordlyによる多言語同時通訳:聴講者はスクリーンまたは手持ちのスマートフォンから多言語の翻訳を見る・聴くことができる。

Wordly導入にあたり当社が選ばれている理由は、単にAIツールを「提供」するだけではなく、イベント現場を理解した上で“使いこなすところまで伴走する”姿勢にあります。

三井情報では、Wordlyの導入前から導入後の音響機材接続、運用支援など、現場レベルでのサポートを提供しており、「技術を入れる(=AIの導入をゴールにする)」ことではなく、「イベント現場で活かす」ためのサポートを体系的に持っている点が当社の強みです。

終わりに

イベント業界は今、AIによって再構築される過渡期にあります。
AXは単なるデジタル化ではなく、AIを軸に「体験の質」と「運営の質」を同時に高める進化です。
人とAI、現場とデータが連動することで、イベントはより多様で、より意味のある交流の場となるでしょう。

三井情報は、その変化を支える技術と知見を通じて、イベントの未来を共に創り出していきます。

次回予告

イベント運営の裏側にある「管理業務」に焦点を当てます。
イベントの成功は、舞台の上だけでなく、見えない部分であるタスク調整・関係者連携・問い合わせ対応の精度によって支えられています。そこでもAIは確実に変革をもたらしつつあり、AIが生成・分析・判断を支援することで、人は本来注力すべき判断業務に集中できるようになります。
次回のコラムでは、イベント管理DXとAIによる業務変革について、より具体的に掘り下げていきます。

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執筆者

立石
パートナー営業部 第三営業室
SaaS領域のプリセールスや販売推進、メーカーアライアンスなどのソリューション企画として従事

三井情報グループは、三井情報グループと社会が共に持続的に成⻑するために、優先的に取り組む重要課題をマテリアリティとして特定します。本取組は、4つのマテリアリティの中でも特に「情報社会の『その先』をつくる」「ナレッジで豊かな明日(us&earth)をつくる」の実現に資する活動です。

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