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“見落とされているニーズ”を発見し、これまでになかった商品を企画する Vol.3

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目次

Vol.3:ソーシャルプレディクションを使いこなすために覚えておきたい3つの用語

はじめに

前回のMKIナレッジ「“見落とされているニーズ”を発見し、これまでになかった商品を企画する Vol.2」では、ソーシャルデータの活用とソーシャルプレディクションの違いについて説明させていただきました。
今回のMKIナレッジでは、ソーシャルプレディクションを使いこなすために知っておきたい3つの用語についてご説明していきます。

ソーシャルプレディクションのユーザーインターフェースを知る

用語の説明に入る前に、ソーシャルプレディクションツールであるトレンドスコープのユーザーインターフェースをご紹介します。縦軸はトレンドの注目度を示すTPVスコア、横軸がトレンドの成熟度を示す成熟度フェーズ(黎明・出現・成長・成熟・下降・衰退の6つ)となっています。黄色の点の一つ一つは指定したカテゴリー内のレンズ(分析の切り口)に関連してWeb上で語られているキーワードで、各キーワードが現在どのポジションにあるのかを一目で理解することができます。(各点をクリックするとキーワードが表示されます)

トレンドスコープのユーザーインターフェース

重要用語①:TPVスコアとは

TPVとは、Trend Prediction Valueの略です。各キーワードのTPVスコアは、過去2年分のソーシャル上のデータ(Twitterの全量データやソーシャル上のニュースサイト等)を活用し、会話の成熟度・会話量の成長率・会話の将来予測を組み合わせることで算出しますTPV スコアが 高ければ高いほど安定的な成長トレンドであり、今後も成長する可能性が高いことを意味します。

トレンドスコープのユーザーインターフェース(TPVランキングの表示)

重要用語②:成熟度フェーズとは

 成熟度フェーズはトレンドの成熟度を示すもので、各キーワードは成長度と会話量等から、黎明・出現・成長・成熟・下降・衰退の6つのフェーズに分類されます。例えば以下のように整理してデータを眺めると各フェーズについて理解が進みます。

黎明 今後成長見込みがある新しいビジネスの種
出現 商品化までは時間がかかるが、カテゴリーのスペシャリストの中ではホームメイド(手作り)で開発されている可能性が高いもの
成長 一部の先進的なブランドでは商品化される可能性があるもの
成熟 このトレンドに関連する製品は既に市場に出ているもしくは今後12カ月の間に商品化される可能性があるもの
下降 会話量は減少傾向も、まだ消費者に受け入れられるポテンシャルは持っているもの。ただし、引き続き生活者に受け入れられる可能性があり、今後成長フェーズに移る可能性があるもの
衰退 会話量は少なく、今後もその成長率も減少する可能性が高いもの。ただし、場合によっては新たに黎明フェーズや出現フェーズに出てくる可能性があるもの

重要用語③:関連語とは

あるキーワードに対して、消費者がソーシャル上でどのようなキーワードを組み合わせて投稿しているのかを知りたいときは「関連語」をチェックします。キーワード間の関連の強さはリフト値という値で示され、簡単に言うとリフト値が高いほど、より多く共起されていることを意味します。関連語はキーワード毎に表示されるスコアカードで簡単に確認ができます。キーワード毎にスコアカードを表示することができるので、新しいキーワードを発見した場合でも、ユーザーはすぐにキーワードの背景等を理解することが可能です。

スコアカード

トレンドを素早く理解する。~キーワードのボリューム順とTPV順の比較~

ここまでで3つの用語を理解いただけたかと思います。次はキーワードをボリューム順で並べた結果とTPV順で並べた結果の比較によりトレンドを素早く理解する方法をご説明したいと思います。
この記事を読んでいる皆さまが上司や取引先から「日本の飲料市場で素材にレモンを使った場合のトレンドを整理してほしい」と言われたとします。
Step1として、キーワードをボリューム順に並べます。上位にナチュラル・贅沢・利便性向上・リラックス効果等の見慣れた用語が並びます。ソーシャルリスニングツールを使っている場合は、これらを検索キーワードとして登録している方もいらっしゃるのではないかと思います。

キーワードのボリューム順

Step2として、キーワードをTPV順に並べてみたいと思います。今度は見慣れないキーワードがあると思われた方もいらっしゃるのではないでしょうか?

キーワードのTPV順

Step3では、上記の2つの結果を並べて、例えば商品開発担当者など、対象となる商品や市場に関する知見を持つ専門家(人)が比較・分析を行います。以下のように異なる切り口で分析した結果を並べてみることで新たな気づきが生まれやすくなり、ソーシャル上のトレンドキーワードの成長を予測するAIの力とトレンドの流れを読む人の力を組み合わせた商品開発力の向上につながると考えています。

ボリューム順とTPV順の比較

最後に

日本国内でもソーシャルプレディクションを積極的に活用しようとしている会社が増えています。
より生活者のニーズを捉えた形で、①新商品のコンセプト最適化に使いたい、②ブランド戦略における客観的なトレンド評価を行いたい、③ソーシャルリスニングツールを更に使いこなすために活用したいというのがお客様からお伺いする検討理由のTOP3となっています。
いずれのケースも商品開発やマーケティングで豊富な経験を持つ社内の専門家の方からのお問い合わせが多いのが特徴で、三井情報では経験等に基づく“人の力”とソーシャルプレディクションの“AIの力”を組み合わせることでよりお客様の成長戦略のご支援ができればと考えています。
ソーシャル・プレディクションを活用したトレンド分析で“見落とされているニーズ”を掘り起こし、これまでになかった商品を開発する試みのご参考になれば幸いです。

執筆者

久利生 大輔
DX営業本部 バイオヘルスケア営業部 営業室 
DX・事業開発チーム マネージャー

2017年から企業向けのDXプロジェクト支援を担当し、20件以上のプロジェクトに参画。
AIを活用した需要予測、電力分野での故障予兆検知等のIoT関連のプロジェクトを経験。現在は、プロスポーツクラブ向けのファンエンゲージメント支援、メーカーの商品開発やマーケティングに関わるトレンド分析等、主にマーケティングDXの分野を担当。

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