はじめに~BWTTとは~
今回のコラムでは、7/23(火)にザ・プリンス パークタワー東京にて開催されたBox World Tour Tokyo 2019(以下、BWTT)のセッションのお話を一部ご紹介します。
BWTTは米国シリコンバレーに本社を置くBox社の日本法人であるBox Japanが主催する国内イベントです。Box社は、クラウド上でコンテンツの管理、共有、統制、コラボレーションを可能にするコンテンツ・マネジメント・プラットフォーム「Box」を提供しています。BWTTは年々事前登録者数が増加しており、今年は5,500名(2015 年1,400、2016 年1,900、2017年3,000、2018年4,000名)にのぼり注目度が高まっている様子がわかります。
MKIは、今年もプラチナスポンサーとしてソリューションの展示を行いました。また、本コラムでご紹介するセッションでは
BoxとAI/ML(機械学習)を連携した活用例として、株式会社ポケモン様とのPoCで気付いたAI/ML活用のポイントを、デモを交えてご紹介しました。
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BoxでSkills Kitを使用した例
(PoCで使用された実際の画像とは異なります)
AI / MLとは
AI/MLには「学習フェーズ」と「推論フェーズ」の2つのプロセスが存在します。
「犬の画像分類」を例にすると、学習フェーズは、犬の画像から犬と分類するよう学習させるフェーズで、頭脳にあたる学習モデル(画像を見て犬と判断できるまでに調整されたモデル)を作成します。推論フェーズは、作り上げた頭脳・学習モデルを使って推論するフェーズで、学習モデルに対して画像を入力すれば、犬かどうかの判断(推論)を即座にできます。
学習フェーズは多くのデータとコンピュートリソースを必要としますが、推論フェーズは1回の入力に1回の出力となるため、学習フェーズのように多くのデータやコンピュートリソースは必要になりません。今回紹介する、Boxと連携するAI/MLは推論フェーズになります。
機械学習の2つのプロセス
BoxとAI / MLの連携で期待すること
BoxとAI/MLの推論フェーズの処理を連携することで、期待することを2つ考えてみました。
1つ目は、埋もれているファイルの検索性の向上です。Boxに格納されているファイルに対してAI/MLで処理(推論)を実施し、AI/ML推論結果をコンテンツに付加することで、テキストが含まれない動画や画像などのコンテンツも検索できるようになると考えられます。
2つ目は、コミュニケーション、コラボレーションの効率化による生産性向上です。現場と素早くコンテンツの共有を行うと共に、AIによる事前処理により生産性向上を目指します。例えば、現場で撮影した画像を専門家が確認する検査業務では、撮影した画像をBoxで共有、同時にAI/MLで検査の自動化(推論)を実施、Boxで場所を問わず専門家が最終確認を実施、という一連の流れが可能になるのではないでしょうか。
Box Skills Kitを利用したAI / ML連携
BoxとAI/MLの連携を簡単に実現する機能が「Box Skills Kit」です。 BWTT当日、Box Japanは「Box Skills Kit」の国内提供開始を発表しました。今回のPoCでも、このBox Skills Kit を使用して、Box内のコンテンツの画像分類を行っています。

Box Skills Kitの動作について
AI/MLの推論フェーズの処理を実行するAI/MLプラットフォーム(上図3rdパーティSkillsアプリ箇所)として、MKIではMicrosoft Azureを使用しました。Azure App ServiceやAzure Kubernetes Serviceを基盤として使用し、AI/MLの推論処理を行ってBoxと連携します。
BoxはAI / MLを業務に適用するための最高のツール
複数のAI/ML処理を一つのBoxに統合できること、AI/MLの推論結果を簡単にチームに共有することができること、コンテンツをダウンロードしてAI/ML処理する必要が無いなど、いつも使うBoxを入口としてAI/MLを使えることは最高のAI活用基盤となる可能性を秘めていると考えています。※2
MKIではPoCで気付いたことを参考に、今後より多くの方の助けになる使いやすいAI/MLのソリューション提供を目指していきます。例えば、AI/MLモデルの作成コストをおさえる仕組みの用意や、ファイルサーバのBox移行時や運用時など、利用シーンに合わせたAI/ML処理を実現できるよう検討を行っていきます。
※1:本内容はR&Dの取り組みであり、今後提供されるMKIの製品そのものの説明ではありません。
※2:指田昌夫「『Box Skills Kit』国内導入で見えたBoxのAI戦略 ビジネスの世界でBoxが最強のAI活用基盤になるかもしれない」
ASCII Team Leaders,2019年8月2日(最終閲覧日:2019年9月2日)(https://ascii.jp/elem/000/001/909/1909090/)で紹介されました。
青木 賢太郎
山田 薫
コア技術グループ ソリューション技術本部 R&D部 研究開発室
現在お客様のデジタルトランスフォーメーションをテクノロジー面で推進する業務に従事するとともに、
お客様と繋がることを意識してR&Dに取り組んでいます。
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