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SONiC Foundation に寄稿するまでの道のり

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三井情報は、このたび SONiC Foundation にユースケース記事を寄稿させていただきました。

Driving AI Infrastructure Forward: How Mitsui Knowledge Industry Scaled Tokyo-1 with SONiC
https://sonicfoundation.dev/community-resources/user-stories/

SONiC Foundation は、オープンソースのネットワーク OS である SONiC を推進するグローバル組織で、Linux Foundation 傘下のプロジェクトとして運営されています。AI インフラ・通信・金融など幅広い業界で採用が進み、OCP Global Summit などでも高い注目を集めています。掲載されている記事の多くは、AI スーパーコンピュータや大規模クラウドなど、規模の大きな事例が中心です。その中で、当社の取り組みが日本の大手企業と並んで掲載されたことは、大変光栄なことだと感じています。

今回のコラムでは、当社が SONiC Foundation に寄稿するまでに歩んできた道のりをご紹介します。

情報収集-新しい IT インフラってどの様なものなのだろう?

当社がオープンソースに着目し始めたのは 2019〜2020 年頃でした。ちょうど、ホワイトボックススイッチ、OSS、IP Clos といったキーワードが国内でも徐々に耳に入るようになり、海外の事例も少しずつ見えてきた時期です。
一方で、当時(そして今も一部では)、ネットワーク領域には長年に渡る以下の課題が存在していました。

 • (ライセンスを含む)コストの高止まり
 • 運用や管理における自動化への柔軟性
 • 変更や増設、デザイン変更に対する拡張性や可用性
 • 機器調達の制約、装置ライフサイクル管理の難しさ

これらの課題は “仕方のないもの” とされる場面も多く、抜本的な改善は難しいものでした。

しかし、得られた情報を組み合わせていくと、
OSS やホワイトボックスであれば、これらの課題を解決できるのでは?
という感触が少しずつ得られてきました。
そこで私たちは
本当に課題解決につながるのか?
この新しい IT インフラはどの様に構成されるのだろう?
といった疑問を自分たちの手で確かめるため、研究開発としての取り組みをスタートさせました。

研究開発-OSS のメリットを実感

新しい IT インフラの姿を求めて調査を進めていく中で、候補となるネットワーク OS はいくつか存在していましたが、実際に手を動かし、検証を繰り返すにつれ、SONiC の持つ強みやホワイトボックススイッチを使うことのメリットが少しずつ明確になっていきました。

例えば、Linux がベース OS であることで得られた高い自由度、活発なコミュニティと技術的透明性などです。また、我々が課題として感じていた、自動化や拡張性などへの相性の良さ、ベンダーロックインが少なくライフサイクル・コントロールのしやすさといった点も挙げられました。

そして実際にメリットが見えてきたことで、本格的に SONiC を使ったネットワークデザインやサーバ等を含めた IT インフラデザインを検討・検証し、実用化に向けて知見を増やしていくことにしたのです。

実証案件-研究では見えなかった課題との対面

SONiC を使ったネットワークデザインが形になりつつあった頃、幸運にも実証案件の機会に恵まれました。研究段階では多くの課題をクリアしたつもりでいましたが、実案件では予想していなかった問題にいくつも直面し、SONiC に対する理解の不十分さを痛感しました。

例えば以下の様なアーキテクチャや考え方です。
 • Linux +コンテナで動作するというアーキテクチャ
 • 従来のネットワーク OS とは異なるデバッグ・運用アプローチ

一方で、OSS ですので技術情報へのアクセスが容易で、
情報さえ得られれば従来のネットワーク知識を応用し、Linux の柔軟性を生かして改善できる
という強みもありました。この強みを生かし、コミュニティの情報を読み込み、試行錯誤を重ねながら理解を深めることで、設計・運用の改善につなげることができました。

レイヤ 1 課題-協力企業との取り組みが突破口に

実証案件では、L1(物理層)に関する課題にも直面しました。これは当社だけでは解決できないものでしたが、協力企業と共に調査・検証を進めることで、確実に解決へと導くことができました。

AIクラスターに対応したサービス用ネットワーク構築に向けた取り組み
https://www.mki.co.jp/knowledge/solution/column166.html

OSS はベンダーフリーゆえに苦労もあります。しかしその一方で、業界との連携が生まれ、新たなシナジーを引き出す力があることを強く実感しました。

成果発表-コミュニティが支えてくれた挑戦

これらの経験から得られた成果・学びについては、以下のイベントで発表しました。
 • JANOG54
 • SONiC Workshop Japan 2024
 • SONiC Workshop Japan 2025

主な内容は次の通りです:
 • 当社にとって AI 基盤サービスの本格運用は初挑戦だったこと
 • 本家 SONiC コミュニティや各種技術コミュニティの知見に助けられ課題をクリアしたこと
 • 自由度・柔軟性が自動化や構成管理に大きく寄与したこと
 • 結果として運用コストの削減に繋がったこと

そして寄稿へ-オープンな取り組みが呼び込んだチャンス

OSS の技術を試行錯誤しながら活用し、コミュニティや業界と支え合いながら形を作ってきたことが評価され、寄稿の機会につながったのかもしれません。プロジェクトを成功させることだけでなく、その過程・プロセスを見てくれる人がいることが、大きな励みになりました。

OSS を活用し、コミュニティと歩むことで得られる価値や新しいつながり。このプロセスそのものが、新たな可能性を広げてくれます。今後も、こうしたオープンで協調的な取り組みに積極的にチャレンジしていきたいと思います。

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執筆者

芹田
イノベーション推進部 第二技術室
主にL2/L3スイッチを取り扱うネットワークの設計、検証、構築等に従事

三井情報グループは、三井情報グループと社会が共に持続的に成⻑するために、優先的に取り組む重要課題をマテリアリティとして特定します。本取組は、4つのマテリアリティの中でも特に「情報社会の『その先』をつくる」「ナレッジで豊かな明日(us&earth)をつくる」の実現に資する活動です。

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