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HUSTサイバーセキュリティセミナー登壇記

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目次

はじめに:「グローバルな未来をつくる」、その教室へ

 三井情報(MKI)のベトナムとの関わりは、年々深まっています。現地の優秀なIT人材の採用や現地企業との取引に加え、ベトナム三井物産がハノイ工科大学(HUST)と締結したMOU(覚書)を機に、今回三井情報としてセミナーに登壇する機会をいただきました。

 2026年4月1日ハノイ工科大学(HUST)にて実施した、約90分のサイバーセキュリティ講演。目の前には約130名の学生たち。言語も文化も異なる場所で、技術と志をどう届けるか。それが今回のセミナーの問いでした。

HUSTとはどんな大学か

 HUST(Hanoi University of Science and Technology=ハノイ工科大学)は、ベトナムを代表する理工系の名門です。政府主導のSTEM教育政策(*1)の中核を担い、毎年優秀なエンジニアを輩出し続けています。

 近年、ベトナムはIT人材の供給地として世界から注目を集めており、HUSTはその最前線に位置しています。学生の気質は、真面目で向上心が高く、日本の理工系学生と重なる部分があります。

 そしてHUSTの学生にとって三井情報は、すでに「先輩が働いている会社」でもあります。過去の採用プログラムを通じて、HUST出身者が数名三井情報に入社し、現在も活躍しています。会場にいた学生たちにとって、三井情報は決して遠い存在ではなかったはずです。

セミナーの中身:約130名の学生に語った90分

 講演は英語で行いましたが、より深く理解できるように、学生はスマートフォンやPCでベトナム語のリアルタイム文字起こしも見ながら受講しました。言語の壁を、テクノロジーで越える試みです。

 講演の軸は「なぜすべてのエンジニアがセキュリティを学ぶべきか」の一点に置きました。

 ITSSフレームワーク(*2)の話から始まり、ベトナムで実際に起きた被害事例を取り上げました。大手証券会社へのランサムウェア攻撃、ITサービス企業における大規模なデータ暗号化、航空業界での数百万件規模の個人情報漏洩など、いずれも高度な新技術ではなく、サードパーティ連携や認証設計の弱点という、既知の経路から発生しています。

 サイバー攻撃が「愉快犯」から「産業」へと進化した今、開発者に求められるのは後付けの検知ではなく、設計段階での予防です。OWASP Top 10や脅威モデリングといった具体的な学習方法、そして自身のキャリアパス(インフラエンジニアからITコンサル、海外駐在・グローバル対応と積み上げてきた歩み)を交えながら話を進めました。

最後に伝えたのは、この一文です。

“Many engineers can build features. Few engineers can design systems with risk in mind.”
(機能を作れるエンジニアは多い。リスクを意識してシステムを設計できるエンジニアは少ない。)

登壇を終えて

 母語ではない言語で、技術的な内容を熱量を持って届けること。準備段階から「どうすれば伝わるか」を何度も問い直しました。
 そして、学生たちは期待以上に応えてくれました。講演後に次々と手が挙がり、その多くがAIとセキュリティの交差点に関する鋭い問いでした。最先端を走るHUSTならではの質問に、こちらも真剣に向き合いました。
この経験から得た気づきを三つ挙げます。

•    簡潔さこそが最大の武器:英語で話すという制約が、メッセージを研ぎ澄ませてくれました。余白をなくすことで、伝えたいことの輪郭が際立ちます。
•    技術は国境を越える:言語は違っても、良い設計を志向する姿勢はエンジニアに共通しており、それが、場の熱量を生みました。
•    伝えることが、自分を鍛える:人に教えることで、自分の知識の曖昧な部分が明確になります。登壇は同時にインプットでもありました。

未来をつくる、三井情報のグローバルな挑戦へ

 今回のHUSTセミナーは、三井情報のパーパス「ナレッジでつなぐ、未来をつくる」を、ハノイの教室から実践した90分となりました。

 HUSTとの関係はまだ始まったばかりです。今後はインターンシップやセミナー活動を通じて、さらにつながりを深めていく予定です。

 約130名の学生たちと向き合った90分は、自分自身のキャリアを振り返り、次のステップを考える時間でもありました。これからも、国を越えて「技術と人をつなぐ」挑戦を続けていきます。



(*1) ベトナム政府は、デジタル人材・高度技術人材の育成を国家戦略に位置づけ、科学・技術・工学・数学(STEM)教育を重視している。2030年を目標に高等教育を中心とした理工系人材の育成と質的強化を進めている。

(*2) 経済産業省が策定した日本におけるIT人材のスキルを体系化した指標。今回参加した学生は日本のITSSフレームワークに基づいたソフトウェア開発という授業項目を受講していたため、本講演でも冒頭で触れた。

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執筆者

隅野
インフラ第一技術部
三井情報入社後、インフラエンジニアとしてネットワーク・サーバーの設計・構築に従事。その後、アプリケーション開発にも携わり、インフラとソフトウェアの両レイヤーにまたがる横断的な知見を習得。さらにコンサルタントへと転身し、ITガバナンス、M&A、リスクアセスメント、アーキテクチャレビュー、脆弱性評価、セキュリティ改善支援を手がける。
シンガポールに4年間駐在し、アジア各地の企業と協業。現在はシニアプリンシパルコンサルタントとして、セキュリティリスクアセスメント・インシデントレスポンス支援など、サイバーセキュリティコンサルティングの最前線で活動している。
「重大なリスクは単一の脆弱性から生まれない。ソフトウェアの欠陥・アーキテクチャの判断・設定ミス・組織的要因が重なって生まれる」、これが現場で培った、ゆるぎない信念だ。
なお、タイピングコンテスト全国大会6連覇・内閣総理大臣賞2回受賞という実績を持つ、日本一の高速タイピング記録保持者でもある。
毎日練習する。一歩一歩改善する。知識を共有する。
タイピングで培ったこの習慣は、コンサルタントとしての姿勢そのものでもある。

三井情報グループは、三井情報グループと社会が共に持続的に成⻑するために、優先的に取り組む重要課題をマテリアリティとして特定します。本取組は、4つのマテリアリティの中でも特に「情報社会の『その先』をつくる」「ナレッジで豊かな明日(us&earth)をつくる」「多様な人材が活躍できる『場』をつくる」の実現に資する活動です。

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