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NVIDIAエンジニアとの対話で見えた「LLM×ユニファイドメモリ」の実力と限界

「GPUメモリを超える大規模LLMは本当に実用化できるのか?」――

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目次

 本記事では、NVIDIA GTC2026の技術対話セッションを通じて得られた、ユニファイドメモリ(Unified Memory)の実力と課題を、実検証ベースで整理します。

GTCならではの技術対話「Connect with the experts」とは

 今回参加した「Connect with the experts」は、NVIDIAエンジニアと直接ディスカッションできる技術セッションです。単なる講演聴講ではなく、自社で進めている検証内容や課題を持ち込み、その場で専門的なフィードバックを得られる点が大きな特徴です。

検証テーマ:GPUメモリを超えるLLMは単一ノードで動くのか

 今回、持ち込み議論した課題は、NVIDIA GH200というGPUとCPUの間を太いバスで繋がれたアーキテクチャを持ったサーバーであればGPUメモリに載せきれなかったデータをCPUのメモリと合わせて使うことで、GPUメモリ容量の制限を超えて大きなサイズのLLMモデルを実行可能になるのではないか、という内容です。

社内検証で見えた現実:動くが「速い」とは限らない

 実際に当社で実施した検証では、Unified Memoryを用いることで、大規模なメモリ空間上でLLMを動作させること自体は可能でした。しかし、体感として明確な性能低下があり、「実用的な速度が出ているのか」が大きな課題となりました。

 公開されている資料の調査だけでは判断できないこの点について、NVIDIAエンジニアに直接確認を行いました。

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見落としがちなポイント①:帯域は“測り方”で変わる

 まず指摘されたのは、転送帯域の評価方法です。小さなデータサイズでは帯域を十分に引き出せない場合があり、観測値だけでアーキテクチャの限界を判断するのは適切ではないとのことでした。

 重要なのは、データサイズ、並列度、実装方法といった条件を含めて評価することです。単純なベンチマークではなく、実運用を見据えた設計レベルでの検証が求められます。

見落としがちなポイント②:Unified Memoryには明確な向き・不向きがある

 より重要だったのは、Unified Memoryの特性です。

 アクセスが集中する一部のデータをGPU側に保持できる処理では有効に働きやすい一方で、大きなデータ全体を順番に読み書きするような使い方では、ページの入れ替えが頻発し、性能が大きく低下する傾向があります。

 つまり、「GPUメモリ容量を超えるモデルを動かせる」ことと、「実用的な速度で動作する」ことは別問題であるという点が明確になりました。

実務で重要になる視点:「動くか」ではなく「使えるか」

 今回の対話を通じて、「実行可能か」と「実用的な性能を満たすか」を分けて考える必要があることが分かりました。

 理論上のメモリ容量や帯域だけでなく、実際のアクセスパターンやソフトウェア側の最適化まで含めた設計が不可欠です。この視点は、公開されている資料だけでは得られない実践的な知見と言えるでしょう。

まとめ:Unified Memoryの可能性を、実運用の視点で見極める

 今回の検証とNVIDIAエンジニアとの対話から、Unified MemoryはGPUメモリ容量の制約を緩和する有力な技術である一方、CPUとGPUの間が高い転送帯域で接続されたアーキテクチャであってもCPUメモリを単純にGPUメモリの延長として扱えばよいわけではないことが分かりました。

 大規模なメモリ空間でLLMを動作させること自体は可能でも、実用的な速度が得られるかどうかは、データのアクセスパターンやソフトウェア実装などに大きく左右されます。そのため、公開資料や理論値だけでは判断できない部分を、実機検証と専門家との対話を通じて確認することが重要です。

 当社では、最新技術を表面的に追うだけでなく、実際のシステム設計や運用に適用できるかという観点で検証を重ねています。今後もAI基盤技術に関する知見を深め、お客様にとって実用性の高い提案へとつなげていきます。

執筆者

菊島
イノベーション推進部
AI・GPU基盤や仮想化・コンテナ基盤のインフラ構築、さらにそれらの自動化に関わる研究開発業務を担当しています。私は特にその中でもGPUサーバーやストレージについて最適な構成の検討や最新技術の検証を行っています。

三井情報グループは、三井情報グループと社会が共に持続的に成⻑するために、優先的に取り組む重要課題をマテリアリティとして特定します。本取組は、4つのマテリアリティの中でも特に「情報社会の『その先』をつくる」「ナレッジで豊かな明日(us&earth)をつくる」の実現に資する活動です。

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