導入概要
紙とFAXを中心としたアナログな情報管理をデジタルに変革
1事業所あたり月間150時間の業務時間削減と、A4換算で年間54万枚に及ぶ紙の削減を達成
セントラル警備保障株式会社(以後、CSP)は、施設警備からホームセキュリティまで幅広く手掛ける、大手警備会社です。
同社は、SalesforceとBoxを組み合わせた新しい仕組みにより、機械警備業務における効率化とペーパーレス化を成し遂げました。この新たなシステムを適用する業務範囲は徐々に広がり、今後はさらなるDXに向けて基幹システムの移行という大きな改革が待っています。三井情報は、このプロジェクトにおいて、システム検討当初からCSPとともにデジタル活用に向けたあるべき姿を考え、提案から開発、定着化というすべての局面でサポートをしています。
現場と本部が連携できず、全社の一体感が失われる危機感
CSPでは、紙とFAXを中心に管理していた情報をデジタル化してデータとして管理することで、本部と警備現場がうまく連携できる新たなやり方を模索していました。同社は警備先のセンサー情報をキャッチし、現場へ警備スタッフが出動して対応する機械警備を「指令システム」と呼ばれるシステムを中心に運用しています。 現場へ指示を出す指令システムは、長年の運用でシステム自体の成熟度が高く、警備情報も保有する極めてミッションクリティカルなものです。 そのため、指令システムを改変して大幅に機能を拡充し、デジタル化を一気に進めることは困難でした。
取締役常務執行役員 管理本部長 兼 経営企画部長 菅野 秀一氏は、「営業担当者はお客様の要望をかなえようとするものです。お客様に合わせた独自の運用は、お客様には喜ばれるのですが、警備スタッフは、その独自のやり方にあわせて業務に当たらなければなりません。指令システムの機能追加にはコストがかかるため、現場がうまくやり繰りしている状態でした」と話します。「このままでは現場と本部が緊密に連携できなくなり、全社の一体感が失われるという危機感がありました。それがプロジェクトのきっかけです。」
紙とFAXを中心に機械警備の情報を共有する場合、複数の書式でやり取りされ、幾重にも積み重なるチェックプロセスが走ります。執行役員 東京システム事業部長 鴫原公男氏は、「現場も本部も限界が近づいていました。手書きの報告書をExcelに打ち直すことは日常で、お客様から問い合わせがあれば膨大な紙の書類から目当てのものを探す必要がありました」と振り返ります。機械警備プロセスのペーパーレス化および業務効率化を目指し、まずはシステムインテグレーターにそれが可能な提案ができるかヒアリングするところからプロジェクトはスタートしました。
Salesforceでプロセスを作り、Boxで文書管理を行う
複数のシステムインテグレーターに声をかけたところ、ほぼすべてがSalesforce中心のシステムで提案してきました。その中で、三井情報に依頼した背景について、菅野氏は、「自社で使っているシステムを実際に見てくれませんか、と言われたのです。見せてもらったところ、三井情報さんの仕事のやり方は弊社と似ていて、親近感を覚えると同時に、自社でもSalesforceが使えそうだと感じさせてくれたのです」と話します。Salesforceでプロセスを作り、Boxで文書管理を行うという三井情報の提案を受け入れようという流れが、CSPの社内でいつの間にか出来上がっていました。
具体的には、営業部門の情報管理はSalesforce Sales Cloudを適用し、警備部門は業務プロセスを変えずにSalesforce Platformで開発したアプリケーション上で動かします。さらに、これまでの紙業務をデジタル化し、すべての文書をBoxに保管しています。この大きな変革を実現するためには、指令システムとの連携が不可欠でした。止めることが許されず、警備に関する重要な情報の深部まで保存するミッションクリティカルなシステムとの連携においては、三井情報が丁寧に説明し、関係部門の協力を得たことで、セキュアなやり方でほぼリアルタイムに情報を同期できるようにしました。これにより、警備スタッフの行動と報告のプロセスは、すべてSalesforce上で完結することになりました。さらに、現場の使い勝手をより良くするために、三井情報はタブレット用の画面を用意。警備スタッフは警報の対応が完了すると、現場からタブレットやスマートフォンで報告内容を入力します。すると、それがSalesforceに登録され、入力内容はBoxに保存されるという流れが出来上がりました。「現場がどう対応したか」という履歴が、すべてデジタルデータとして蓄積されることになったのです。手書きしていた情報がすべてSalesforceに登録されるため、転記時の入力漏れがなくなりました。 また、ペーパーレス化によって、手書きに時間をかける必要もなくなり、データを二重三重に入力する作業もなくすことができました。
システム利用の定着化にあたっては、三井情報が伴走型で支援し、ユーザートレーニングを実施することで貢献しています。鴫原氏は、「セキュリティ面を考えても、SalesforceとBoxの組み合わせは優れた提案だったと考えています。運用後に感染症予防を目的に在宅勤務が増えたのですが、スムーズに対応できたのは、このシステムがあったおかげです」と話してくれました。

新基幹システムの導入も三井情報とともに
プロジェクトではBPRを含めた検討が現在も続いています。また、他部門や他の業務プロセスでのデジタル活用も始まりました。技術部門では、これまでExcelで行ってきた警備機器の在庫管理と仕入れ管理の仕組みをSalesforce Platformで開発しました。これによりすべての情報を見える化でき、たとえばCSPが保守を担当する数万台に及ぶAED(自動体外式除細動器)の使用期限も容易に確認できるようになりました。
鉄道警備プロセスにも新たな仕組みを用意しました。写真添付の報告が必要な情報はスマートフォンでその場で撮影し、Boxに保存。業務報告はSalesforceに入力すると、情報が登録され、業務報告書としてBoxにドキュメントが格納されます。同社では鉄道会社に対する業務報告として一定期間の書類をまとめた分厚い紙束からの集計や、必要に応じて電子データに変換したうえで提出してきましたが、顧客の同意を得て業務報告ファイルの納品へと移行。Boxに格納したデータはそのまま顧客にシェアされ、業務報告が速やかに完了する流れが出来上がりました。
これらの成果を含め、ここまでのプロジェクトの成果は、1事業所あたり月間150時間の業務時間削減と、A4換算で年間54万枚に及ぶ紙の削減につながりました。情報をSalesforceに集約し、資料作成スピードは加速。人が労力を割いていた作業の大幅な省力化が、経営の迅速な意思決定にも良い効果をもたらしています。
次なる大きなプロジェクトは、基幹システムの切り換えです。鴫原氏は、「これまで三井情報さんと一緒にやってきて、大きな成果は得られましたが、改善できたのは全社的に見ると一部の業務に過ぎません。基幹システムを切り換えて、いま動かしているシステムとの連携をより密にすることで、成果をさらに高める方向です。すでに三井情報さんにサポートいただきながら、新基幹システム導入に向けたFit&Gapに入っています」と話します。並行して、Salesforceを活用した経営コックピットの実装や、蓄積したデータに対してAIを活用した分析を行うなど、新たな展開も視野に入ってきました。菅野氏は、「警備会社は特殊だと思われがちですが、実はそれほど特殊ではありません。スタンダードなものに適合させることでBPRにつながります。これからも三井情報さんにサポートいただきながら、プロジェクトを前進させていきます」と総括してくれました。
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導入サービス
セントラル警備保障株式会社様について

名称: セントラル警備保障株式会社
所在地: 東京都新宿区西新宿二丁目4番1号
事業内容: 施設警備からホームセキュリティまで幅広く手掛けるセキュリティサービス大手。
人による警備のほか、画像解析システム、警備ロボット、セキュリティプラットフォームなど先端技術を取り入れた新たなビジネス展開にも積極的に取り組む。
ホームページ:https://www.we-are-csp.co.jp/