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ブロックチェーンって何だろう?【前編】

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三井情報は、昨年12月に仮想通貨及びブロックチェーンの普及・活用推進を目的とした事業団体「日本ブロックチェーン協会」に賛助会員として加入しました。
最近、「ブロックチェーン」という言葉をニュースや新聞で耳にする機会が増えてきましたが、詳しくはご存知ない方もまだまだ多いと思います。今回は、Fintech(フィンテック)を支える技術として注目されているブロックチェーンとは何なのかについて、前編・後編に分けてお話ししたいと思います。

ブロックチェーンは分散型の共有台帳

昨年から急速に注目されてきたブロックチェーンは、インターネット上で決済可能な仮想通貨「ビットコイン」を支える基盤技術として生まれました。
ブロックチェーンは、個人や組織間の取引を記録・管理する「分散型の共有台帳」を実現する、技術的な概念(仕組み)です。取引データは改ざんの検出が可能なデータ構造で記録・保持され、取引に参加する全員が参照したり共有したりできるのが大きな特徴です。また、同じ役割を持つ複数のサーバ(ノード)によって取引データを処理し管理することで、システムの可用性やデータの信頼性を担保する仕組みをブロックチェーンは備えています。
ブロックチェーン技術は、オープンソースやPaaSによる提供、サービスの基盤としての組込み等、実装方法も様々です。仮想通貨ビットコインもその1つであり、仮想通貨の取引を行う基盤としてブロックチェーン技術が組み込まれています。

仮想通貨ビットコインとブロックチェーン

ブロックチェーンはサービスを支える裏方の技術のため、その特徴や活用するメリットは、エンジニアではない方にはなかなかイメージしづらいと思います。そこで、ブロックチェーンという技術が誕生するきっかけとなったサービス、「ビットコイン」を例にブロックチェーンの特長を簡単にお話ししたいと思います。

ノード P2Pネットワーク 取引データ ユーザA AからBへ送金(取引73) ユーザB 時間経過 ブロック ハッシュ ブロックチェーンデータ

《ビットコイン取引の登場人物》

  1. ビットコインを使う人
    ビットコインを使用して決済や取引を行う利用者です(図でいうとユーザAです)。
  2. ビットコインを支える人
    ビットコインの送金・管理を行うインフラを提供する人達です。ビットコインの送金取引の承認や取引データを管理するソフトウェアがインストールされたサーバ(ノード)を無償で提供し、自分のサーバで取引処理が行われた際に手数料という形で報酬を得ます。ビットコインの基盤ソフトウェア自体はオープンソースなので、サーバさえ用意すれば誰でも参加することができます。

《ビットコインの特長》

  1. 取引コストが安価
    ビットコインを支える人達によってインフラやサービスが運営されており、銀行のような中央機関が存在しません。そのため、送金等の取引手数料が安くすみます。海外にビットコインを使って送金した場合など、既存の金融機関を使った送金方法と比べて大幅にコストを抑えることができると言われています。
  2. 耐障害性に優れている
    ビットコインを支える人は世界中にいて、現時点では5,000以上のノードが提供されています。各ノード間でPeer-To-Peer(P2P)ネットワークを構成し、取引データを共有します。そのいずれかのノードで取引処理が行われるため、全てのノードが止まらない限りビットコインのサービスは止まる事はないのです。
  3. データの改ざんが困難
    一定時間内に行われた複数のビットコイン取引情報は、「ブロック」と呼ばれる単位でまとめて記録・管理されます。ブロックは時系列に沿って作成され、作成されたブロックは一つ前のブロックのハッシュ情報を保持し、ブロック間で時系列的に連鎖したつながりを持っています(「ブロックチェーン」という言葉は、このデータの持ち方に由来しています)。データ構造がブロック間で連鎖しているので、全てのブロックが改ざんされない限り、データが改ざんされた場合に検出がしやすいのです。また、同一データを全てのノードで保持して整合性を保っている事からも、データの改ざんは非常に難しいと言えます。
  4. 取引の透明性確保
    ビットコインを使った取引の情報は、全てブロックチェーン上に記録されます。ブロックを参照するためのインターフェースが提供されているので、誰でも取引情報を見ることができます(名前などの個人情報は記録されていないため、プライバシーは守られています)。

ブロックチェーンが注目されている理由

今お話ししたビットコインの特長がブロックチェーンの特長そのものであり、ビットコインのインフラはブロックチェーン技術で支えられているのです。ブロックチェーンが注目されているのは、上記のような特長と、ビットコインでの利用実績から、仮想通貨の取引以外においても応用し、安価で高可用かつ安全な取引を実現できるのではないかと言われているからです。
次回の後編では、ブロックチェーンと共に注目されている、スマートコントラクトについてお話ししたいと思います。

執筆者

大貫 真
R&D部 ITイノベーション室
現在、Deep Learningやブロックチェーンなどの研究開発に従事。

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