2025年の崖

2018年9月に経済産業省が発表した「DXレポート ~ITシステム『2025年の崖』の克服とDXの本格的な展開~」の中で、日本企業が抱え込む旧式の基幹業務システム(レガシーシステム)の為に2025年以降、日本経済は年間約12兆円もの経済的損失を被り続ける可能性があることが指摘された。
この問題は、通称「2025年の崖」と呼ばれている。※1 この発表により様々な企業で基幹システムの刷新を進める動きが活発になっている。
※1 参考:経済産業省ウェブサイト「DXレポート ~ITシステム『2025年の崖』の克服とDXの本格的な展開~」(https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/digital_transformation/20180907_report.html)
IT人材の確保と協創
基幹システムの刷新を進める動きが活発化したことから、日本市場では現時点においてもIT人材(特にSAP分野の技術者)を確保することが難しい状況になっている。
そこでMKIは、SAP分野の技術者を中心としたIT人材の確保とDX推進体制の強化を進める為に、以前よりSAP製品の導入、保守で協業していたインドのIT企業テックマヒンドラ社とSAP S/4HANA®の分野において、連携の強化を図ることとした。※2
MKIとテックマヒンドラ社の関係は、ここ数年研修員として、インドのバンガロール、プネ、チェンナイにあるテックマヒンドラ社の各拠点に、数名の要員を半年間派遣して交流を深めてきた。またMKIのオフィスにもテックマヒンドラ社のメンバ10名弱が常駐し、一緒にプロジェクトを進めている。こうした人的交流を通じてこれまで培った関係を最大限に活かし、且つ長年グローバル企業に対し世界各国でシステムを導入してきたテックマヒンドラ社の技術力を最大限活かして、日本国内の慢性的な技術要員不足に対応するとともに、彼らから新技術と経験を吸収し協創しながら、顧客のDX推進の後押しをしていくことを進めている。
※2 参考:三井情報プレスリリース(2019年5月22日)「MKI、2025年に向けSAP S/4HANA®への移行支援体制を強化 - 印・大手IT企業テックマヒンドラとの協業を拡大し600名の技術要員確保を目指す -」(/news/solution/20190522_1.html)
三井情報 x テックマヒンドラ共創動画(
https://youtu.be/m0i76Q3G2ZQ)
テックマヒンドラ社との連携と協創
MKIは、テックマヒンドラ社と数多くのプロジェクトを実施してきた中で、連携を強化し必要なノウハウを蓄積してきた。その中でMKIとして最も多くの時間を割いた点は、考え方の違いを埋める作業である。新技術の導入に対する顧客の考え方やシステム構築の進め方、不具合の管理方法等、日本の企業とインドの企業の間では考え方の違いが多くあり、その違いにぶつかる度に何度も両社で議論を重ね、お互いの良い部分を取り入れ、納得した上で先に進めることを繰り返している。
この行為自体が協創の考え方そのものであり、MKIとテックマヒンドラ社双方が協力し、顧客へより良いシステムを提供することに繋がっている。
海外企業と連携する為の取り組み
MKIは、海外企業と連携する為に必要なスキルとしてビジネス英語の習得に力を入れており、外部から講師を呼び、より実践的な学習を行っている。最初にスキルレベルを測りクラス分けを行い、クラス単位での講義が行われるため、自分に合ったレベルでのスキルアップが可能となっている。
さらに、MKIでは海外研修員制度として、前述したテックマヒンドラ社への派遣のみならず、MKIの子会社であるMKI (U.K.), LTD (英ロンドン)やMKI (U.S.A.), Inc.(米シリコンバレー、ニューヨーク等)に、研修員として社員を派遣し、海外での業務経験を積む機会を積極的に提供し、グローバルな考え方を持つ人材の育成も強化している。
おわりに
国内では少子高齢化を受け多くの業界で人材不足への懸念が高まっているが、SAP分野の技術者を中心としたIT人材の不足も例外ではない。こうした状況の中、MKIは、グローバルな考え方を持つ人材の育成と、グローバル市場からの人材確保を並行して進めることで、2025年の崖を乗り越え、ベンダーや顧客と共に未来を創る企業へとさらなる進化を進めていく。
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伊藤 義和
ソリューション技術本部 SAPソリューション部 第三技術室
SAP導入案件を中心に、開発、保守、新技術調査等、SAPの技術に関して各メンバをサポートしています。
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