2025年5月15日・16日、Moon Creative Lab Inc.主催のMoonオープンワークショップ(2日間プログラム、以下 Moon)にイノベーション推進部から3名が参加しました。本ワークショップへの参加は、当社が現在取り組んでいる「社会課題起点の価値創出」を加速するための取り組みの一環です。イノベーション推進部では、活動の初期段階から“社内を越えた刺激”の重要性を感じており、Moonが掲げる“人間中心の問いから事業を構想するアプローチ”や“越境的な共創文化”は、「サイロ化の克服」や「実装フェーズへの移行」といった部門の課題に対して大きなヒントになると考え、参加に至りました。
このワークショップは、「良い問題をビジネスチャンスに変える」ことを目的に、参加者自身の内なる課題意識を起点とし、対話と共創を通じて事業構想まで一気通貫で体験する2日間の実践プログラムです。
Moonが提供するのは、ノウハウや手法以上に、“問いを深め合う場”の設計です。
当社は、「ナレッジでつなぐ、未来をつくる」というパーパスのもと、2024年度より社会課題起点の価値創出にも注力しており、本プログラムへの参加はその一環として実現しました。
イベント概要
- 主催:Moon Creative Lab Inc.
- 日程:2025年5月15日(木)~16日(金)
- 会場:Moon表参道スタジオ
- URL:https://www.mooncreativelab.com/ja/openworkshops

Moonのコンセプト紹介を聞きながらディスカッションが始まる様子

アイデアを可視化しながらグループで議論する様子
問いはひとりで抱えず、ひとと育てる
初日の午前中は、参加者それぞれが「自分が解決したいと感じている社会課題」を言葉にし、グループで共有し合うセッションから始まりました。
「それ、私も感じていた」、「そういう視点はなかったけど共感できる」――そんな声が飛び交い、自分の中でモヤモヤしていた違和感が、他者の共感や問いかけを受けて“社会的な問い”へと昇華していく体験がありました。
普段の業務では共有しにくい感覚や思いが、Moonという空間では、ごく自然に言葉として表出しました。対話によって問いが育ち、視野がひらかれることの力強さを実感するひとときとなりました。

インスピレーションレンズを使ってテーマを深掘りする様子

アウトプットをもとにグループで洞察を共有する様子
異分野の交差が、思考をゆさぶる
午後のセッションでは、各自の問いや想いをもとにアイデアを広げ、形にしていくプロセスが始まりました。
この段階で特徴的だったのは、“良いアイデア”を出すこと以上に、「なぜその問いに取り組むのか」を繰り返し確認する進め方です。
異なる業界や分野のメンバーが集まることで、ひとつのテーマに対して多様な視点が注がれ、思いもよらない広がりや新たな発見が次々と生まれていきます。
このような「混ざり合い」が自然に起こる背景には、Moon全体に流れる“問いを起点とした共創文化”があると感じました。
一方で、これは三井情報の組織構造との対比でもあります。
当社は各事業部の専門性が高いがゆえに、サイロ化しやすく、部門横断の協業や発想が生まれにくい課題を抱えています。また、イノベーション推進部のメンバーにおいても、業務領域や経験値の違いから、横の連携やテーマ共創は容易ではありません。
だからこそ、Moonでのこの体験は、意図的に“ナレッジが混ざる場”を設計することの必要性を再認識させてくれるものでした。

Moon表参道スタジオでのオープンワークショップのにぎわい

アウトプットが貼られたインスピレーションレンズボード
ピッチに向けて:価値の本質を探る
2日目は、アイデアを視覚的に整理し、ビジネスモデルを言語化したうえで、ピッチとして発表する準備が進められました。
単に「発表の場」として準備するのではなく、自分たちの問いがどのような文脈で価値を持つかを改めて見つめ直す時間となりました。
発表の場では、他のグループのアイデアや語り口に刺激を受けながら、自分たちの問いがどこまで社会にひらかれているかを確認することができました。
展示形式での共有や懇親会では、立場を越えて率直なフィードバックが交わされ、今後の実装や発展のヒントを得る機会ともなりました。
ちなみに、限られた準備時間の中で完成させたピッチ資料は、AIツールもフル活用した成果でした。

空気をつくる仕掛けが、問いをひらく
Moonで過ごした2日間を振り返って、強く印象に残っているのは、空間や空気の“設計”そのものが問いを深める土壌になっていたということです。
イスの配置や壁一面のホワイトボード、ところどころに貼られた問いの言葉、話しかけやすい声のトーン、自然なBGMの流れるリズム。Moonの空間は、単なるワークの会場ではなく、「自分の違和感を出してもよい」、「答えがなくてもいい」と思える”心を開いて本音で語れる場”として設計されていました。
問いをひらくには、仕組みやフレーム以上に、人が安心して自分を出せる“空気”があるかどうかが決定的に重要なのだと、身体感覚として気づかされた時間でもありました。
一方、当社ではまだまだ日々の業務の中で“場の設計”が後回しになることが少なくありません。しかし、Moonでの経験を通じて、価値ある対話は偶然ではなく、意図的につくるものだということを学びました。
イノベーションは、アイデア以前に「人と人が出会える空気」から生まれる――。その気づきもまた、Moonから持ち帰った大切な財産のひとつです。


全力でプレゼンしたあとの満足感!
Moonから持ち帰った3つの場
2日間のワークショップを通じて、得たのは単なるアイデアやフレームワークではなく、組織や自分自身のあり方に深く問いを立て直すための視座でした。
特に印象的だったのは、以下「3つの場」に出会えたことです。
1. 問いを深め合う場 -「問い」は自分の中にだけではなく、他者との対話の中で育つ
モヤモヤを他者と共有することで、はじめてその本質に気づくことがある。問いは独りで抱えるものではなく、共に育てていくものだという感覚を得ました。
→ 今後の社内ヒアリングやテーマ設定の初期段階では、「自分だけの問い」をあえて開いて共有する場づくりを意識していきたいと感じました。
2. ナレッジが混ざる場 -混ざり合うことでこそ、新たな発想が生まれる
異なる価値観や経験に触れることで、自分の視野が揺さぶられ、広がっていく。組織の中で閉じがちな視点を、外に開いていく必要性をあらためて感じました。
→ 今後は、テーマ創出会議などで他部門のメンバーや外部パートナーとの混成チームによるディスカッションを増やしていくことを検討しています。
3. ”心を開いて本音で語れる場” -共通の目的があると、立場を越えて協働できる
社会課題という「大きな問い」を軸に据えることで、部門や業務の枠を越えて人がつながる。これは、今後の社内横断型プロジェクト設計にも活かせる重要な学びです。
→ 例えば新規事業の起点を「技術テーマ」ではなく「社会課題」に置くことで、専門や部署を越えて連携が生まれやすくなると感じました。
Moonで得たこれらの視点は、私たちのイノベーション活動をより“実装”に近づけていくための確かな土台になると確信しています。
最後に──問いを持ち帰り、未来につなげる。
オープンワークショップは、単にアイデアを磨く場ではなく、問いを可視化し、対話によって育て、社会に向けて届けるプロセスを体験する場でした。
そこで得たのは、アイデアよりも「問いを扱う感覚」や「価値が生まれる場のあり方」に対する根本的な理解です。それは当社が掲げる「ナレッジでつなぐ、未来をつくる」というパーパスを、実践に落とし込むための強いヒントとなりました。
これからも三井情報は、社内外との共創を通じて、社会課題の解決と新たな価値創出に挑み続けてまいります。
私たち自身も、“問い”を起点とした共創に日々取り組んでいきます。
あなた自身の「問い」は、どこから生まれていますか?

ワークショップ最終日、"Graduation"を迎えた全員での記念写真

笑顔とガッツポーズで弾ける、最高のチームスピリット!

前川
イノベーション推進部 第二技術室
官公庁向けのITコンサルタントとして従事後、2024年度新設のイノベーション推進部へ異動。
現在は、自社技術を活かした共創・実証により、新規事業や社会課題解決型の価値創出を推進中。
三井情報グループは、三井情報グループと社会が共に持続的に成⻑するために、優先的に取り組む重要課題をマテリアリティとして特定します。本取組は、4つのマテリアリティの中でも特に「情報社会の『その先』をつくる」「ナレッジで豊かな明日(us&earth)をつくる」の実現に資する活動です。
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