食品サンプル解析事例のご紹介

TilapiaとLipidSearch

世界的に広く食用されているティラピア(スズキ目カワスズメ科の魚)の長鎖遊離脂肪酸の網羅的変動解析をUPLC-Q-Extractive Orbitrap mass、脂質解析ソフトウェアLipidSearchを使用して解析を行った事例

2020年にFood Research International誌に報告された、食品加工方法の一つである
ドライソルティング(塩漬け)過程によっておこるティラピアの脂質変動を調査した研究について紹介いたします。

Wu, T. et.al., Reliability of LipidSearch softare identification and its application to assess the effect of dry salting on the long-chain free fatty acid profile of tilapia muscles. Food Research International, 138(2020) 

ティラピア肉に対する塩の質量比(3、5、8、10、20)、それぞれ塩漬け時間を5パターン(3、24、48、72、96時間)にわけた25サンプルにおいて長鎖遊離脂肪酸の解析を行いました。
まず、本研究ではティラピアの長鎖脂肪酸測定におけるLipidSearchの信頼性を確かめるために、40成分(C4-C24)混合標準品を用いた標準法で定量解析した結果とLipidSearchを用いて定量解析した結果を比較しております。
同定された27種の長鎖脂肪酸の定量値を比較した結果、675件(27種×25サンプル)の比較解析において、72件の結果に差異がみられたものの、603件の結果が同等であることが示され、LipidSearchを用いた網羅的同定・定量システムの信頼性が認められました。さらに、標準品を用いた同定法では検出されない13種の脂質が同定されました。

LipidSearchでは独自のin silicoデータベースにより150万種以上の脂質候補から標品がない脂質をも同定することが可能です。

次に、濃度の違いと時間経過による遊離脂肪酸の変動を調べるために、LipidSearchで測定した定量値を用いて多変量解析を行いました。
その結果、ティラピア肉に対して塩の質量比が高い3サンプルでは全ての塩漬け時間における遊離脂肪酸のプロファイルが似ており、逆に質量比の低い2サンプルではプロファイルに違いが見られました。このことから、塩の質量比が高いケースでは塩漬け時間に関わらず塩分濃度の影響を受けない安定的な変動をすることが示唆されました。時間経過による比較では、遊離脂肪酸は一度減少したのちに増加することがわかりました。
筆者らは他にもティラピアの生、蒸し、茹で、焼きの異なる処理方法における脂質変動解析や(Shi, C. et al., 2019; Rui Sun et.al., 2021)、食肉部、頭部、内臓の部位による脂質のプロファイル解析を実施しており、部位による解析では760種以上の脂質が同定されています(He, C. et al., 2021)。
LipidSearchでは脂質解析にかかる時間の大幅な削減、標準品では同定されない網羅的な解析、また独自のアルゴリズムにより正確な脂質解析を実現しております。

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